トヨタ、次世代レクサスEVを上海で先行生産 中国でEV開発・生産を強化

 日本経済新聞は28日、トヨタ自動車が2027年秋、次世代のレクサスEVを中国で先行生産すると報じました。上海に新設する工場でSUVを生産し、当初は月産約1,000台、2028年以降は年産数万台規模に拡大する計画です。

 同紙によると、新型車には複数のアルミ製車体部品を一体成形する「ギガキャスト」を採用します。対象部品の重量を最大約20%削減できるほか、航続距離の向上や生産工程の簡素化にもつながるとされています。

 次世代EVを中国で先行生産する今回の計画は、これまで日本を中心としてきたトヨタの新型車の開発・生産体制にも変化が表れていることを示しています。

 こうした動きの背景には、中国の新エネルギー車(NEV)市場が急速に拡大する一方、日系自動車メーカーの中国販売が低迷していることがあります。2026年7月のトヨタの中国販売台数は11万4,700台で、前年同月比24.3%減となりました。同月は日産自動車とホンダも中国販売が大幅に減少しました。

 一方、広汽トヨタは「聚変2030」計画を打ち出しています。2030年までに新エネルギー車の販売比率を80%に引き上げることを目標とし、プラグインハイブリッド車(PHEV)やレンジエクステンダー車(EREV)の投入も進める方針です。

 トヨタは中国市場向けに2つの新エネルギー車用プラットフォームも開発しています。中小型車向けはEVとPHEVに対応し、中大型車向けはEV、PHEV、EREVの3つのパワートレインに対応します。

 また、トヨタは中国での現地開発や意思決定の権限を拡大しています。トヨタは「中国チーフエンジニア」制度を導入しており、中国市場向けモデルについて、商品企画から開発・設計、検証・評価まで、中国人エンジニアがより主導的な役割を担う体制を整えています。

 次世代レクサスEVの上海での先行生産や、中国での開発権限の拡大、新エネルギー車向けプラットフォームの整備などを通じ、トヨタはEVの開発・生産体制における中国の役割を強化しています。ただし、これはトヨタがハイブリッド車(HEV)、水素関連技術、PHEV、EVなど複数の技術を並行して進める従来の戦略を転換することを意味するものではありません。中国のEVサプライチェーンやコスト面、市場に近いという利点などを生かし、中国市場向け商品の開発を加速する狙いがあるとみられます。