Lynk & Co、新型車に「4カ月の壁」 相次ぐ販売失速、「新車の死の谷」鮮明に

 吉利汽車(Geely)が発表した最新の販売実績によると、2026年7月のLynk & Co(リンカンコー・領克)の販売台数は約1万6,000台で、前年同月比40%減となりました。吉利傘下の主要ブランドで、同月に前年割れとなったのはLynk & Coだけです。一方、Zeekr(極氪)は約3万6,000台を販売し、同111%増となりました。

 さらに注目されるのは、Lynk & Coの販売減少が4カ月連続となり、減少幅も月を追うごとに拡大している点です。4~7月の前年同月比は、それぞれ18%減、25%減、28%減、40%減でした。1~7月の累計販売台数は約16万600台で、前年同期比11%減となりました。年初に掲げた年間40万台の販売目標に対する進捗率は約40%にとどまり、残る5カ月で目標を達成するには月平均で約4万8,000台を販売する必要があります。通期目標の達成に向けたハードルは一段と高まっています。

 車種別の販売動向を見ると、Lynk & Coが直面しているのは市場全体の需要低迷だけではありません。新型車の販売が短期間でピークアウトする、いわゆる「新車の死の谷」とも呼べる現象が鮮明になっています。

 「新車の死の谷」とは、新型車の投入が相次ぎ、商品改良のサイクルも短期化する市場環境のなかで、発売直後は販促や話題性、初期受注によって販売が急増するものの、数カ月後には注目度が急速に低下し、販売台数も大きく落ち込む現象を指します。その結果、新型車が高水準の販売を維持できる期間は短くなり、車種によっては研究開発費や生産コストを十分に回収できないまま販売減少局面に入るケースも出ています。

 Lynk & Coの複数の主力車種にも、これとよく似た販売曲線がみられます。とりわけ目を引くのが、およそ「4カ月」という好調期間です。

 Lynk & Co 03は2025年10月に年次改良モデルを発売した後、月間販売が一時5,000~6,000台まで回復しました。しかし、この水準を維持できたのは約4カ月にとどまり、その後は減少が続き、2026年7月には2,300台余りまで落ち込みました。

 Lynk & Co 10 EM-Pも2025年8月の発売後、最初の4カ月は販売台数を徐々に伸ばし、6,000台を超えましたが、その後は減少に転じ、2026年7月には2,000台を割り込みました。

 Lynk & Co 08 EM-Pは、より象徴的な例です。2023年9月の発売後、一時は月間販売1万台を突破しましたが、約4カ月後には減少局面に入りました。その後、年次改良によって一時的に販売が持ち直す場面はあったものの、その効果は長続きせず、2026年7月の販売台数は1,829台まで減少しました。

 フラッグシップモデルのLynk & Co 900は、比較的長く好調を維持しました。2025年3月の発売後、生産能力の立ち上がりに伴って月間販売は一時7,380台に達し、大型SUV市場でも上位に入りました。しかし、同年11月以降、競合車種の増加を背景に販売が大きく落ち込み、2026年7月は679台にとどまりました。

 こうした販売推移から浮かび上がるのは、新型車の発売直後には販売のピークを作れても、その勢いを数カ月、あるいは数年にわたる安定した販売につなげることが難しくなっているという現象です。Lynk & Coでは「4カ月」が、一部車種にとって販売拡大から減少へ転じる一つの節目となりつつあります。

 この現象はLynk & Coに限ったものではありません。中国自動車市場が成長市場から成熟市場、さらには縮小を伴う競争局面へ移行するなか、NEV(新エネルギー車)の新型車投入は大幅に増えています。価格や装備、スマート化機能の更新スピードも加速し、新型車同士が互いに置き換わるサイクルは明らかに短くなっています。かつてはヒット車が数年間にわたって販売を支えることも珍しくありませんでしたが、現在では発売から数カ月で新たな競合車の攻勢にさらされるケースも増えています。

 吉利汽車の販売部門トップを務める林傑氏はこれまでに、Lynk & Coが2026年上期に苦戦した背景として、6人乗り中大型SUV市場の競争激化に加え、ガソリン車市場の縮小が続いていることを挙げています。

 こうした市場環境の変化を受け、吉利はLynk & Coに「幅を広げる」戦略を打ち出しています。ガソリン車、ハイブリッド車、EVというパワートレインの選択肢を広げると同時に、エントリーモデルからフラッグシップまで商品ラインアップを拡充し、今後はより個性的なニッチ市場にも参入する方針です。Lynk & Co 07GTなどの新型車には、下期の販売を押し上げる役割も期待されています。

 ただ、Lynk & Coにとってより重要なのは、新型車を継続的に投入できるかどうかではなく、新商品がこれまで繰り返されてきた販売パターンから脱却できるかどうかです。

 新型車が発売直後の話題性や初期受注に依存し、注目度が落ちた後に安定した需要を築けないのであれば、新車を相次いで投入しても短期的な販売の「山」を繰り返すだけで、ブランド全体の販売減少傾向を根本的に反転させるのは難しいでしょう。

 その意味で、Lynk & Coが下期に投入する新型車が繰り返されてきた「4カ月の壁」を突破できるかどうかは、中国自動車市場で広がる「新車の死の谷」を占う一つの象徴的なケースとなりそうです。