AITO、SERES主導の運営体制へ ファーウェイとの協業モデルを変更

 SERES(賽力斯)とファーウェイ(Huawei・華為)は、AITO(問界)を巡る協業モデルを変更します。

 9月15日に鴻蒙智行とAITOがそれぞれ発表した内容によると、AITOは引き続き鴻蒙智行(ホンモン・ジーシン、HIMA=Harmony Intelligent Mobility Alliance)に所属する一方、商品定義、商品設計、ブランドマーケティング、販売チャネル、サービス体系はSERESが主導し、Huawei Consumer Business Groupが支援します。

これまではファーウェイが商品から販売まで深く関与

 これまでAITOでは、ファーウェイが鴻蒙コックピット(HarmonySpace)や乾崑ADS(チェンクンADS、HUAWEI ADS)、電動パワートレーン関連の技術・部品を供給するほか、商品、マーケティング、販売、サービスにも深く関与していました。

 AITOはファーウェイの智選車体系(スマートセレクション)で早期に立ち上がったブランドで、当初はファーウェイの技術、販売チャネル、マーケティング資源も集中的に活用していました。

 販売面では、AITO正規販売店との契約主体もHuawei Consumer Business Groupでした。

商品・販売の主導権をSERESへ移管

 新体制では、商品定義、商品設計、ブランドマーケティング、販売、サービスをSERESが主導します。

 また、AITOは「専属専売」の形で独立して展示・販売し、鴻蒙智行のほかのブランドとは分けて展開します。

 関係者によると、9月16日からAITO正規販売店との契約主体もHuawei Consumer Business GroupからSERES Automobileへ変更されます。9月16日以前の受注に関する総合サービス料などはファーウェイが処理し、それ以降はSERESが担当します。

 一方、AITOは引き続き鴻蒙智行の一員です。MAEXTRO(尊界)、STELATO(享界)、LUXEED(智界)、尚界については、ファーウェイが全工程を主導する従来の方式を継続します。

業績悪化と販売減少が重なるSERES

 今回の変更は、SERESの業績とAITOの販売が悪化している時期に行われました。

 SERESは2024年に黒字転換し、2025年も黒字を維持しましたが、2026年上期の売上高は前年同期比7.87%減の574億9300万元となり、親会社株主帰属損益は前年同期の29億4100万元の黒字から17億1700万元の赤字へ転落しました。

 同期間の販売費、一般管理費、研究開発費、財務費用は合計約138億8000万元で、約134億元の売上総利益を上回りました。このうち販売費は84億7000万元でした。

 ファーウェイ関連の支出も拡大しています。SERESの香港上場時の目論見書などによると、支出には運転支援、スマートコックピット、電動パワートレーン関連の調達費に加え、技術ライセンス料や販売・マーケティングサービス料が含まれます。

 2025年のファーウェイ関連調達額は560億5400万元で、SERESの調達総額の33.78%、売上高の約34%に相当しました。なお、SERESはファーウェイとの間に利益分配契約はないと説明しています。

 販売も低下しており、2026年8月のAITO販売台数は2万652台で前年同月比49.68%減、1~8月累計では20万1902台で同14.07%減となりました。

 また、鴻蒙智行が5ブランド体制へ拡大するなか、AITOの販売構成比は2024年の約87%から2025年に約71%、2026年6月には約6割まで低下しています。

専売化で問われるブランドと販売チャネル

 今回の変更により、これまでファーウェイが深く関与していた商品、ブランドマーケティング、販売チャネル、サービスをSERESが主導することになります。

 一方、技術面の協業は続き、ファーウェイが今後も鴻蒙コックピットや乾崑ADSなどを提供します。

 販売チャネルでは、AITOが「専属専売」へ移行します。ファーウェイ店舗が持っていた集客効果を、新たな販売体制に円滑に引き継げるかが今後の焦点となります。

 また、一部のオーナーからは、品質管理やアフターサービス、二次流通での残価、ファーウェイが今後どの程度関与するのかを懸念する声も出ています。

 SERESにとっては、AITOの運営主導権を引き受けた後、ブランドポジションや販売をどのように維持するかが今後の焦点となります。