CATL、バッテリー交換事業を加速(2) 大型トラック向け「電電レンジエクステンダー」を発表

 10月20日、CATL(寧徳時代)は北京で「勝算2027」と題する大型トラック向け新型バッテリー「天行Ⅱ」と「騏驥(Qiji)」バッテリー交換エコシステムの発表会を開催し、新たな「電電増程(電電レンジエクステンダー)」方式を発表しました。

 この「電電レンジエクステンダー」は、従来のレンジエクステンダーEV(EREV)のようにエンジンで発電する方式ではなく、2組の独立した駆動用バッテリーを組み合わせることで、電池の利用効率と航続距離の確保を図る仕組みです。

新方式では、「A+B」のデュアルバッテリー構成を採用

    • Aバッテリー:車体下部に搭載する交換式メインバッテリー。 車両の主な動力源となり、標準化されたバッテリー交換方式に対応します。バッテリーは運営事業者が保有し、ユーザーはリース方式で利用するため、車両購入時にバッテリーを買い取る必要はありません。
    • Bバッテリー:車載型の補助バッテリー。 容量77kWhのバッテリーで、車両に常時搭載されます。メインバッテリーの残量が少なくなった際に補助電源として機能し、車両とともに売買・譲渡できる資産として保有することも可能です。

 今回、CATLは大型トラック向けに2種類の標準化交換式バッテリーも発表しました。「260#」は容量432kWhでホイールベース3.8mの車両に、「300#」は容量513kWhでホイールベース4.2mの車両に対応します。いずれも77kWhの補助バッテリーと組み合わせて使用できます。

 この方式は、従来のバッテリー交換式大型トラックにおける電池利用効率の問題を改善することを目的としています。

 CATLによると、従来の交換式大型トラックでは、走行途中の電欠を避けるため、メインバッテリーの残量が約30%になった段階で交換ステーションに戻る必要があり、電池容量を十分に活用できないという問題がありました。

 「電電レンジエクステンダー」方式では、メインバッテリーの残量が5%以下になっても、ミリ秒単位の高速切り替えによって補助バッテリーから電力を供給し、走行を継続できます。これにより、メインバッテリーの電力をより使い切ることができ、予備電力を多く残すことによる無駄を減らせます。

 また、車両が騏驥バッテリー交換ステーションに到着すると、約5分でメインバッテリーの交換を完了できます。

 つまり、この方式の特徴は単にバッテリーを追加することではなく、「メインバッテリーの交換+車載補助バッテリー」という組み合わせによって、運用の柔軟性を高めることにあります。特に、車両の稼働率が重視される長距離幹線物流などに適しています。

初回契約は1万3,000台、3年間の総保有コストを46万元以上削減

 CATLは、天行Ⅱ「電電レンジエクステンダー」方式が発表と同時に量産段階に入り、初回の契約台数が1万3,000台に達したと発表しました。

 契約企業には、中国郵政、順豊速運(SF Express)、申通快逓、円通速逓、湖南鋼鉄、建龍集団などの物流・産業輸送企業が含まれています。用途は宅配便輸送、長距離幹線物流、鉄鋼などの大口貨物輸送に及びます。

 CATLの試算によると、大型トラックが1日平均400km走行する場合、「電電レンジエクステンダー」方式の年間エネルギー補給コストは、ディーゼルトラックより1台当たり約13万元削減できます。

 さらに、車両購入費、エネルギー補給費、整備・保守費、金融・保険費用、中古車残価などを総合的に計算すると、3年間の総保有コスト(TCO)は、バッテリーを購入するタイプの電動トラックより約7万元、ディーゼルトラックより46万元以上低くなるとしています。

 ただし、これらはCATLが一定の運用条件に基づいて算出した数値です。実際のコスト削減効果は走行距離、積載量、電力料金、バッテリー交換サービス料金、車両の使用状況などによって異なります。

騏驥バッテリー交換ステーションを3.0に刷新、2027年に2,000カ所へ

 CATLは「電電レンジエクステンダー」方式に合わせて、次世代の「騏驥バッテリー交換ステーション3.0」も発表しました。

 同社によると、新型ステーションでは約5分のバッテリー交換時間を維持しながら、1回当たりの交換成功率を99.99%に高めました。また、1ステーション当たりの1日の交換対応回数を28%増やし、建設コストを10%削減したとしています。

 主に乗用車向けの「チョコレート・バッテリー交換」とは異なり、騏驥バッテリー交換は大型トラックを対象としています。車体下部からバッテリーを交換する方式を採用し、高速道路、物流拠点、港湾、工業輸送ルートなどを中心に展開しています。

 現在、広東省~上海市、成都市~武漢市、滄州市~楡林市、寧徳市~厦門市、海南島一周の5つの主要バッテリー交換ルートが開通しており、関連ネットワークを利用する車両の累計運行距離は500万kmを超えています。

 最新の計画では、2026年末までに騏驥バッテリー交換ステーションを900カ所、2027年には2,000カ所に増やし、全国の主要高速道路への展開を進めます。長期的には1万カ所まで拡大し、東西8路線、南北10路線からなる大型トラック向けバッテリー交換ネットワークの構築を目指します。

 また、CATLは「騏驥バッテリーパートナー」と「騏驥エネルギー補給パートナー」の2種類の協業モデルを導入し、物流企業、エネルギー事業者、金融機関、民間資本などの参加を促しています。

 完成車メーカーとの協力も拡大しており、一汽解放、東風商用車、徐工汽車、福田ダイムラー、中国重汽、三一集団など、計14社の自動車メーカー・販売事業者と共同で大型トラック向けバッテリー交換エコシステムの構築を進めています。

バッテリー交換事業が大規模な収益化を実現できるかどうかは、今後の課題

 交換ステーションの建設には多額の初期投資が必要であり、十分な対応車両数と交換頻度を確保し、設備の稼働率を高める必要があります。また、異なる自動車メーカーが共通のバッテリー規格や交換インターフェースを採用するかどうかも、ネットワーク拡大を左右します。

 大型トラック市場では、バッテリー交換方式と大出力急速充電方式のコスト競争も、充電技術の進歩や物流事業者の運用形態の変化によって、今後さらに激しくなるとみられます。