8月23日、2026年成都モーターショーで、BYD海洋網(オーシャンシリーズ)販売事業部の張卓総経理はインタビューに応じ、社内で「大海鴎(大シーガル)」と呼ばれる新型シーガルを年内に発売することを明らかにしました。海洋網のMPVも年内に投入する予定です。
「大シーガル」は今年7月、中国工業情報化部(工信部)の新車申請リストに掲載されています。申請情報によると、ボディサイズは全長4205mm×全幅1810mm×全高1570mm、ホイールベースは2650mmで、乗車定員は5人です。最高速度は150km/h、タイヤサイズは205/60 R16で、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)とEDR(イベント・データ・レコーダー)を装備し、車載ETCもオプションで選択できます。
パワートレインには、鄭州BYDの生産工場で生産する永久磁石同期モーターを採用し、最高出力は95kW、定格出力は40kWです。バッテリーは弗迪(FinDreams)が供給するリン酸鉄リチウムイオン電池で、容量29.99kWhと39.23kWhの2種類を設定します。CLTCモードの航続距離はそれぞれ320kmと420kmです。上級グレードではLiDARもオプション設定され、より高度な運転支援機能に対応します。
現行シーガルと比べて最も大きく変わるのが車体サイズです。現行モデルは全長3780mm×全幅1715mm×全高1540mm、ホイールベース2500mmですが、新型は全長が425mm、ホイールベースが150mm拡大し、車格は明らかに上位セグメントへ近づいています。
参考までに、現在販売されているBYDドルフィンは全長4280mm×全幅1770mm×全高1570mm、ホイールベース2700mmです。「大シーガル」はドルフィンより全長がわずか7.5cm短い一方、全幅はむしろ広く、ホイールベースの差も5cmにとどまります。このため、新型の投入によって、これまで比較的明確だったシーガルとドルフィンのサイズ面での差は小さくなります。
動力性能も大幅に引き上げられます。現行シーガルのモーター出力は55kWですが、「大シーガル」は95kWに高められます。現行シーガルだけでなく、ドルフィンのエントリーグレードが搭載する70kWモーターも上回ります。一方、ドルフィンの一部の中・上級グレードに搭載される130kW、150kWのモーターには及びません。
現在明らかになっている情報を見る限り、BYDは「大シーガル」で現行シーガルを単純に置き換えるのではなく、車体の大型化による室内空間の拡大と動力性能の向上を通じて、シーガルの用途を都市部での日常的な移動からファミリー用途へ広げる狙いがあるとみられます。
現行シーガルは、コンパクトな車体による取り回しの良さと購入のハードルの低さを強みとしています。一方、吉利汽車(Geely)の「星願」や上汽GM五菱の「繽果S」などと競合するうえでは、室内空間やファミリーカーとしての実用性も重要な要素になっています。「大シーガル」は車体の大型化と動力性能の向上によって、より広い室内空間を求めながらも購入予算を抑えたいユーザーを取り込み、現行シーガルと合わせて、より幅広い市場をカバーすることができます。
ただ、新型の車体サイズがドルフィンに近づいたことで、BYDにとっては両モデルの位置付けと価格帯をどう整理するかが課題となります。2026年モデルのシーガルのメーカー希望小売価格は6万9900~8万5900元です。「大シーガル」は車体サイズ、乗車定員、動力性能のいずれも大きく向上するため、最終的な価格設定が市場での位置付けやドルフィンとの関係を左右する重要な要素となりそうです。
このため、ネット上では両モデルの差を維持するため、BYDが近く「大ドルフィン」を投入するのではないかとの見方も出ています。一方で、BYDの車種構成は、「大唐」「大漢」などの「大」系モデルの投入に伴い、次第に複雑になっているとの指摘もあり、「そのうち『大BYD』まで登場するのではないか」と冗談交じりに語るユーザーもいます。
BYDの新型シーガル「大シーガル」

写真:中国工業情報化部
