吉利汽車、販売統括会社を新設 中核4ブランドの体制を集約し「一つの吉利」戦略を加速

吉利汽車(Geely)は8月2日、「吉利汽車集団販売総公司」を正式に設立したと発表しました。新設された販売統括会社は、グループ一元管理のコアとなるマーケティング・統括プラットフォームであり、その傘下に「中国星」「銀河(Galaxy)」「領克(Lynk & Co)」「極氪(Zeekr)」の販売会社など、グループの第1階層(ファースト・ティア)組織である6つの販売会社を配置します。
今回の改編は、同社が掲げる「一つの吉利(ワン・ジーリー)」戦略をマーケティング体系において具体化させたものです。これにより、中国星、銀河、領克、極氪など、これまで比較的独立し分散して運営されていた中核ブランドの販売体制に終止符が打たれ、統一された戦略のもとで高いシナジーを発揮する新たな組織モデルへと移行することになります。
吉利が今回実施した組織改編の核心となるロジックは、「フロント(ブランド)層は独立して動き、市場に密着した迅速な意思決定を行う一方、ミドル・バック層は全領域で連携し、リソースの共有を最大化する」という点にあります。具体的な役割分担は以下の通りです。
- フロント(ブランド)層:「中国星」「銀河」「領克」「極氪」の各ブランドが引き続きそれぞれのターゲット市場に向き合い、より鮮明なブランドイメージを構築するとともに、市場の変化に迅速に対応する能力を維持します。
- ミドル・バック層:販売ネットワークの計画、アフターサービスの基準策定、デジタルプラットフォームの構築、サプライチェーンの集中購買といった共通業務を一元管理し、リソースの重複投資を回避します。
この組織改編は、吉利が2025年から進めている深化統合プロセスの延長線上にあります。グループはこれまでにも、「銀河」と「幾何(Geometry)」ブランドの統合、「極氪」と「領克」の戦略的ポジショニングの再構築、「極氪」の吉利本体への連結による株式上場など、一連の施策を順次進めてきました。2026年6月に開催された重慶フォーラムにおいて、李書福会長が「重複する事業主体を段階的に整理・統合し、優位性のあるリソースを集中させることで、上場中核企業である吉利汽車控股を強化する」との方針を改めて明確にしており、今回の販売部門の集約もこれと軌を一にするものです。
吉利がこのタイミングでマーケティング体系の統合に踏み切った背景には、極めて好調な販売データという裏付けがあります。今年7月の吉利の新車販売台数は25万台(250,161台)を超え、前年同月比および前月比でともに5カ月連続のプラス成長を達成しました。その内訳は以下の通りです。
- 新エネルギー車(NEV):7月の販売台数は160,165台と前年同月比で23%増加し、全体の販売比率の64%を占めました。
- 海外輸出:106,663台と前年同月比で202%の激増となり、2カ月連続で10万台の大台を突破しました。
- 2026年上半期実績:吉利控股全体の小売販売台数は1,934,842台に達し、過去最高を更新しています。
ブランド別に見ると、「銀河」シリーズの7月販売台数は107,797台(前年同月比13%増)、「極氪」は35,837台(同111%増)、「領克」は16,382台となりました。また「中国星」シリーズは90,145台となり、前月比で15%の伸びを記録しています。
業界の専門家は、今回の組織改編によって、これまで各ブランドの販売会社が「個別に戦っていた」状況が解消され、フロントのマーケティング層における分散型の戦いから「一つのネットワークで吉利のすべての車を販売する」体制へ集約されたと分析しています。自動車市場全体が成熟期(存量競争)に入り、パイの奪い合いが激化するなか、「フロント層に裁量を与え、バック層で統括する」という新たなモデルは、リソースの共有と組織連携を通じて、吉利のマルチブランド体系における全体の効率性と顧客体験(UX)をさらに高めていくものと期待されています。