このほど、奇瑞汽車(Chery)傘下の「OMODA 5(オモダ5)」がマレーシアで走行中に後輪車軸(リアアクスル)が脱落する事故を起こし、同社は対象車両8,878台の緊急リコールを開始しました。現地の規制当局も同モデルの新車登録を停止しました。マレーシアでOMODA 5の車軸破損事故が発生したのは今回が2度目であり、相次ぐ品質問題は、グローバル展開を加速する奇瑞汽車の安全管理上の課題を浮き彫りにしています。
10月6日、マレーシアで2023年モデルの奇瑞OMODA 5が走行中に後輪車軸を脱落させる事故が発生しました。リアサスペンションのトレーリングアームが破断し、左右の後輪を含むリアアクスル全体が車体から脱落しました。幸い、けが人はいませんでした。
インタネットで拡散された奇瑞の後輪車軸脱落事故のドラレコ映像

映像出典:知乎(撮影者不明)
事故を受け、奇瑞汽車は10月11日、「マレーシアにおけるOMODA 5の車両問題に関する説明」を発表しました。同社によると、対象ロットの車両では、リアサスペンションのトレーリングアームの一部溶接箇所で接合強度が不足している可能性があり、極端な条件下では溶接部が破断する恐れがあるとしています。なお、同じ構造を採用したモデルはすでに生産を終了しています。今回の説明では溶接部の強度不足が指摘されたものの、欠陥が生じた具体的な原因については明らかにされていません。
奇瑞汽車は、マレーシア子会社が同国の陸路交通局(JPJ)の指示に従い、影響を受けるOMODA 5の8,878台についてリコールを開始したと説明しています。対象車両の関連部品を点検し、必要に応じて無償交換を実施します。また、中国国内および関連市場で販売された同一ロットのOMODA 5についても、安全上のリスクを確認するための特別調査を開始しました。これは予防的な自主措置だとしています。
シンガポール紙『聯合早報』によると、事故発生後、JPJは技術調査が完了し、安全性が確認されるまで、OMODA 5の車両型式認証と新車登録を停止しました。これにより、同モデルは当面、マレーシアで新車販売を継続できない状況となっています。公開情報によると、JPJが乗用車の安全事故を理由に、特定モデルの新車登録を停止するのは極めて異例です。
OMODA 5がマレーシアで車軸破損事故を起こしたのは、今回が初めてではありません。奇瑞汽車は2024年3月、マレーシアでSUV「OMODA 5」を発売しましたが、そのわずか1カ月後、走行中に後輪車軸が破損し、左後輪が車体内部に沈み込む事故が発生したと、所有者から報告されました。
当時、奇瑞汽車のマレーシア法人が発表した声明によると、問題の原因は部品サプライヤーの製造工程にありました。サプライヤーが工場設備を更新する際、自動溶接機の溶接ヘッドを交換したことで、設備の調整にずれが生じたと説明されています。
それから2年余りが経過し、再び後輪車軸周辺で事故が発生しました。しかも、いずれも溶接工程に問題があったとされています。2件の事故は同じ欠陥に起因するのでしょうか。また、今回の事故車両は2024年にリコールされた対象ロットに含まれていたのでしょうか。こうした疑問について、奇瑞汽車のさらなる説明が待たれます。後輪車軸に関する不具合が繰り返し発生したことで、同社のマレーシア市場における安全性と品質に対する信頼は、厳しい試練に直面しています。
折しも、ファーウェイと江淮汽車(JAC)が共同開発した高級MPV「尊界V800」のブレーキペダル破損問題が大きな波紋を広げています。中国を代表する自動車関連ブランドである奇瑞汽車とファーウェイの製品で相次いで安全上の問題が表面化したことは、中国製品の品質や安全性に対する否定的なイメージを一段と強める結果となっています。
ただし、両者には違いがあります。奇瑞汽車の車軸脱落事故は海外で発生したのに対し、ファーウェイの尊界V800のブレーキペダル破損問題は中国国内で発生しました。
この違いについて、あるネットユーザーは次のように皮肉っています。
「海外で事故が起きたから、奇瑞はリコールしたんだろう。同じように、ファーウェイの尊界も海外でブレーキペダルが折れたら、おそらくリコールするはずだ。中国国内ではどうかって? 言わなくても分かるでしょう」
また、別のネットユーザーは、自動車メーカーの製品品質と従業員の待遇との関係について、次のような見方を示しています。
「中国の自動車メーカーが自社の車をどれほど高級だと宣伝し、どれほど高い価格で販売しても、従業員の月給が3,000~4,000元のままである限り、その車の品質が優れているとは信じられない。そんな待遇では、ブランドの価値も高まらないだろう」
