VW中国、自社開発の全シーン運転支援「HS8」を量産へ 中国合弁3社の7モデルに搭載

 フォルクスワーゲン中国は、自社開発による全シーン対応の運転支援システムの量産化を進めています。フォルクスワーゲン(以下、VW)と中国の自動運転技術企業ホライゾン・ロボティクス(Horizon Robotics、中国語名:地平線)が合弁で設立したCARIZON(酷睿程)は、第1世代の全シーン対応運転支援システム「HS8(Hyper Sense 8)」を開発しました。2026年第3四半期から、VW傘下の中国合弁3社が投入する新型電動車7モデルに順次搭載する予定です。

 8月10日、VW中国は上海で自動運転技術に関する説明・試乗会を開き、CARIZONが開発した運転支援システムを公開しました。最初に搭載される車種には、上汽VWの「ID. ERA 5S」と「JETTA M6」が含まれます。

HS8、ビジョン方式とLiDAR方式の2種類

 HS8は、車載向けの一段式エンドツーエンド技術を採用した全シーン対応の運転支援システムで、現在2つの仕様を計画しています。

 カメラのみを使用するビジョン方式は、ホライゾン・ロボティクスの「Journey 6M(J6M)」チップを採用します。一方、LiDARを搭載する仕様は「Journey 6H(J6H)」をベースとします。

 量産計画では、2026年にまずJ6Mを採用したビジョン方式を2モデルに導入し、その後、J6HとLiDARを採用した5モデルを投入します。VWの中国合弁3社で合計7モデルに搭載する計画です。

 このうち、電子・電気アーキテクチャ「CEA 1.3」向けのJ6H仕様は、J6Hチップ1基、LiDAR 1基、カメラ11台で構成されます。

 2027年以降は、同運転支援技術をCEAアーキテクチャを採用するさらに多くのモデルへ展開する計画です。

VWとホライゾン、協業を段階的に拡大

 VWとホライゾン・ロボティクスは2022年に提携関係を構築し、2023年にはVW傘下のソフトウェア会社CARIADとホライゾンが合弁会社CARIZONを設立しました。

 その後、両社は協業を段階的に拡大しています。2024年にはJourney 6シリーズを使った量産プロジェクトで協力し、2025年4月にはHSDをベースに高度運転支援分野での提携を深めました。同年11月には、半導体の共同仕様策定にも着手しました。

 現在、CARIZONはソフトウェアとハードウェアを一体で開発する体制を整え、PCB(プリント基板)やECU(電子制御ユニット)も独自に設計できるようになっています。VWは今後、運転支援システムを車両開発プロセスに段階的に組み込み、標準化できる要件を共通の技術基準として整備するとともに、異なる車種やブランド間でプラットフォームとして展開する方針です。

 半導体については、現在のHS8にホライゾンのJourney 6シリーズを採用しています。CARIZONは「C7H」と呼ばれるチップの開発も進めています。同社によると、C7Hはホライゾンの関連チップと一部の中核技術を共有する一方、SoCの製品仕様やインターフェース設計などには、VWのCEAプラットフォームに合わせた要件を盛り込んでいます。

今後はプラットフォーム化とL3開発を推進

 アルゴリズム面では、CARIZONが「Hyper Sense AI」基盤モデルを構築し、実走行データとシミュレーションデータを使って学習させています。その後、追加学習やモデルの剪定、蒸留などを行い、車載向けモデルを開発します。ソフトウェアについては、初期バージョンの完成後、約3カ月ごとのOTA更新を目標としています。

 VWはL3、L4の技術開発も継続します。現在の計画では、2027年にまずCEAアーキテクチャとL3関連技術の準備を整え、その後、量産・実用化を段階的に進める方針です。同社によると、L3の量産化には電子・電気アーキテクチャだけでなく、通信、演算、電源、ブレーキ、シャシー、ステアリングなど、車両側の各システムとの連携が必要で、一部の重要部品には冗長化も求められます。