広汽、一汽トヨタの50%持分取得へ 「南北トヨタ」が協調運営、姉妹車統合も検討

 中国の広州汽車集団(GAC Group、広汽集団)は9月28日、重大資産再編案を発表し、中国第一汽車股份有限公司(一汽股份)が保有する一汽トヨタ(FAW Toyota)の50%持分を、株式発行によって取得する計画を明らかにしました。併せて、35者以内の特定投資家を対象に株式を発行し、資金を調達する計画です。

 取引が完了すれば、広汽集団は一汽トヨタの50%を保有し、一汽トヨタは同社の合弁会社となります。一方、一汽股份は今回の株式交換を通じて広汽集団の株式を保有し、第2位の戦略株主となる見通しです。

 現在の一汽トヨタの出資比率は、一汽股份50%、トヨタ自動車45.77%、トヨタ自動車(中国)投資有限公司4.23%です。このため、今回の取引は、一汽トヨタの中国側の50%持分を一汽から広汽へ移すもので、トヨタ側の合計50%の出資比率は変わりません。

「南北トヨタ」、研究開発から販売まで協調へ

 トヨタは中国で、一汽トヨタと広汽トヨタ(GAC Toyota)という2つの合弁会社を展開してきました。いわゆる「南北トヨタ」と呼ばれる体制で、両社はこれまで、研究開発、生産、調達、販売、販売店網などをそれぞれ運営してきました。

 広汽集団は今回の取引後、一汽トヨタと自社グループとの間で、商品開発、サプライチェーン、生産体制、販売・サービス、財務、内部統制などの分野で協調を進める方針です。正式な再編案でも、こうした分野での協調を進める計画が示されています。

 さらに、中国メディア「第一財経」が複数の関係者の話として報じたところによると、一汽、広汽、トヨタの3社は現在、販売面での主導権や役割分担などについて協議を続けています。

 これまで両社がそれぞれ販売してきた、車格や位置付けの近い「姉妹車」についても、今後統合する可能性があるとしています。商品ラインアップの重複を減らし、開発や生産、販売にかかわる投資効率を高める狙いです。

 ただし、広汽集団は、一汽トヨタが引き続き外資系合弁会社であり、異なる株主や経営管理体制が関係することから、協調策の実施時期や効果には不確実性があるとしています。

一汽トヨタ、2025年の純利益は42億元

 一汽トヨタは、中国の日系合弁メーカーの中でも、依然として大きな事業規模と高い収益力を維持しています。

 未監査の財務データによると、2024年の売上高は1,065億7,000万元、純利益は47億1,700万元でした。2025年は売上高が1,086億2,400万元、純利益が42億3,400万元となっています。

 2026年上半期は、売上高407億2,500万元、税引き前利益12億9,900万元、純利益10億900万元でした。

 中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、2025年の一汽トヨタと広汽トヨタの合計販売台数は、合弁乗用車市場の17.03%を占めました。2026年1~8月では、広汽トヨタが約45万台、一汽トヨタが約38万台で、合計80万台を超えています。

 広汽集団にとっては、一汽トヨタの50%持分を取得することで投資収益の拡大が期待できるほか、一汽トヨタと広汽トヨタの研究開発や調達、生産拠点、販売などを協調させることで、同一ブランド内での重複投資を減らす狙いがあります。

一汽と広汽、資本提携を軸に協力拡大

 9月29日には、中国第一汽車集団(FAW Group)と、広汽集団の親会社である広州汽車工業集団も戦略協力枠組み協定を締結しました。両社は資本面での連携を基盤として、完成車、技術開発、サプライチェーン、市場開拓、海外事業などで協力を拡大する方針です。一汽トヨタの持分取得は、こうした一汽と広汽の戦略提携における具体的な案件の一つとなります。

 ただし、現時点では一汽トヨタの資産監査と評価が完了しておらず、50%持分の最終的な取引価格も決まっていません。今後、広汽集団の取締役会や株主総会、証券当局などによる手続きが必要となるため、今回発表された内容は「取得決定」ではなく、取得に向けた再編計画の段階と見る必要があります。