中国NEV完成車メーカーの利益率が1.5%に低下 単なる「過当競争」ではなく、利益が産業チェーンの両端へ流出

 7月13日、中国自動車工業協会(CAAM)の陳士華副秘書長は、中国自動車産業高品質発展サミットフォーラムで、業界に衝撃を与えるデータを示しました。中国国家統計局の集計によると、2026年1~5月の国内完成車メーカーの利益総額は前年同期比43%減と大幅に落ち込み、完成車製造部門の利益率はわずか1.5%にとどまりました。

 あまりにも低い水準だったことから、この数字は業界に大きな波紋を広げました。同期の中国工業企業の平均利益率は6.1%であり、自動車製造の収益力は一般製造業の4分の1にも届きません。

 利益率1.5%とは、販売価格20万元の自動車を1台売っても、完成車メーカーの手元に残る利益はわずか約3,000元ということです。

 中国乗用車市場情報連席分会(乗連会)のデータも、自動車市場の厳しい実態を裏付けています。2026年上半期の平均値下げ幅は、新エネルギー車(NEV)が3万元、ガソリン車が3万2,000元に達し、全体では12~14%の値下げが一般化しました。市場で販売の中心となる量販モデルの多くは、すでに原価ぎりぎりの価格で販売されています。一部の低価格車は「売れば売るほど赤字」という状況に陥り、1台当たりの赤字額が最大2万元を超えるケースもあります。

 これまでに明らかになった各社の業績を見ると、GAC(広汽集団)は約40億元の赤字、SERES(賽力斯)は黒字から赤字へ転落し、BAIC BluePark(北汽藍谷)は約17億元の赤字となりました。JAC(江淮汽車)も7四半期連続で赤字を計上しています。

 完成車製造の利益が紙のように薄くなるなか、すべての自動車メーカーが、生き残りに直結する問いを突き付けられています。自動車産業は今後、何で利益を上げるのかという問題です。

 中国の完成車メーカーの利益減少は、本当に「内巻(ネイジュアン)」と呼ばれる過当競争だけが原因なのでしょうか。実態はそれほど単純ではありません。

 7月に開かれたある社内会合で、自動車メーカーの幹部は、完成車製造部門が置かれた状況を次のように表現しました。この言葉は、利益率低下の構造的な要因を端的に示しています。

 「完成車メーカーは十字架にかけられ、左側では『スマート化税』を払い、右側では『電池税』を払っている」

 現在、中国の自動車産業では、バリューチェーンの収益構造を示す「スマイルカーブ」の谷が、完成車製造部門で一段と深くなっています。

 従来の製造業では、加工・組立部門の利益率は、研究開発などの上流工程や販売・サービスなどの下流工程よりも低く、スマイルカーブの底に位置するのが一般的です。しかし、欧米や日本の大手完成車メーカーは、エンジンなどのコア技術を握ることで、産業チェーンの主導権を確保してきました。加工・組立工程においても、きめ細かな生産管理を通じて工程を継続的に改善し、製造部門の付加価値を高めています。その結果、産業チェーンの上流・下流よりも高い利益率を実現してきました。この収益構造は、逆スマイルカーブ、あるいは「武蔵曲線」と呼ばれます。

 一方、中国の新エネルギー車メーカーは、スマイルカーブの制約から抜け出せていません。過当競争の激化に伴い、完成車製造部門はますます深い谷へと沈んでいます。産業チェーンの利益は、上流では電池、半導体、車両のスマート化を担う技術サプライヤーへ、下流ではメディア、コンテンツ、マーケティングなどの集客プラットフォームへと集中しています。

 その間に挟まれた完成車メーカーは、両側から圧力を受けています。上流では、技術的な参入障壁を持つサプライヤーが価格決定力を握り、下流では、消費者との接点を持つプラットフォームが交渉力を握っています。両者に利益を吸い上げられる完成車メーカーの利益率は、低下の一途をたどっています。

 一部の自動車メーカーが「売れば売るほど赤字」になる理由も、ここにあります。経営管理や生産技術、ブランドマーケティングが劣っているからとは限りません。自動車産業のバリューチェーンそのものが構造的に変化し、従来は完成車メーカーに帰属していた利益が、ほかの自動車メーカーではなく、異なる産業領域へ流出しているのです。

 乗連会の崔東樹幹事長は、2025年版『フォーチュン・グローバル500』のデータを引用し、ランキング入りした中国自動車企業の利益総額は147億ドルだったのに対し、そのうち大手電池メーカー1社だけで71億ドルを占めたと指摘しました。同社の2025年の純利益は722億元に達し、中国本土の株式市場に上場する完成車メーカー13社の純利益合計を上回りました。

 こうした利益の移動は、単なる「内巻」とは本質的に異なります。過当競争とは、同じ業界の企業が限られた利益を奪い合うゼロサムゲームです。しかし、現在起きているのは、完成車製造部門の利益が、技術サプライヤーや集客プラットフォームへ移っているという構造変化です。

 中国では、自動車メーカー同士が同じパイを奪い合っているのではありません。利益というパイそのものが、すでに完成車メーカーの手元から離れつつあるのです。

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