中国車、欧州販売で2カ月連続日系超え VWは中国製PHEVへの追加関税を要請

 欧州自動車工業会(ACEA)が7月23日に発表した6月のデータによると、Geely(吉利汽車)、SAIC(上海汽車)、BYD(比亜迪)、Chery(奇瑞汽車)、Leapmotor(零跑汽車)の中国自動車メーカー5社は、欧州で新車を計17万1,630台販売しました。これに対し、トヨタ、日産、スズキ、マツダ、ホンダ、三菱自動車の日本車大手6社の販売台数は計15万8,540台にとどまり、中国勢が約1万3,090台上回りました。中国勢の月間販売台数が日本勢を上回るのは2カ月連続で、その差は5月の約8,000台から、6月には約1万3,000台へ拡大しました。

 6月の欧州市場における中国勢のシェアは約13%に達し、前年同月から約5.1ポイント上昇しました。一方、欧州系大手3グループのフォルクスワーゲン(VW)、Stellantis、Renaultは、依然として合計で市場の半分近くを占めていますが、そのシェアは低下傾向にあります。

 中国勢を個別に見ると、Geelyが4万9,200台で首位となり、SAICとBYDがそれぞれ約3万8,000台、Cheryが3万2,500台、Leapmotorが1万2,800台でした。BYDは電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を中心に投入しています。SAICは傘下のMGブランドが持つ販売網を活用して市場を開拓し、Cheryは複数の商品シリーズによって幅広い価格帯をカバーしています。LeapmotorはStellantisとの共同生産を通じて、販売網の整備を進めています。

 日本勢では、トヨタグループが約8万9,000台を販売しました。日産は2万4,600台、スズキとマツダはそれぞれ約1万7,000台、ホンダは6,093台、三菱自動車は4,559台でした。6月に前年同月比で販売台数が減少した主要自動車グループは日産と三菱自動車で、減少率はそれぞれ4.9%、31.0%でした。

 中国車各社は、欧州での現地生産にも相次いで乗り出しています。BYDのハンガリー工場は稼働に向けた準備段階に入り、SAICはスペインでの新工場建設計画を決定しました。Geelyは海外メーカーとの生産設備の共同利用を検討しており、LeapmotorはStellantisの工場を活用して、欧州で車両を生産しています。

 Geelyは7月23日、香港取引所を通じ、2億2,100万ユーロを投じてフォードのスペイン工場に出資し、欧州で自動車を生産する合弁会社を設立する計画を発表しました。現地生産は、輸入関税に伴うコストの抑制や納期の短縮に加え、二酸化炭素(CO2)排出量や現地調達率に関する規制への対応にもつながります。

 ただし、グループ別では、トヨタが依然として大きな販売規模を維持しています。トヨタの6月の市場シェアは6.3%で、中国勢上位2社のGeelyとSAICを合わせたシェアを上回りました。また、市場全体で見ると、中国勢と日本勢のシェアはいずれも欧州系自動車グループを下回っています。VW、Stellantis、Renaultのシェアは、それぞれ24.6%、13.6%、10.5%でした。

 欧州のPHEV市場でも、中国勢のシェアが拡大しています。市場調査会社Dataforceによると、2026年上半期、中国ブランドのPHEVは欧州で20万8,368台販売され、市場シェアは27.3%に達しました。

 上半期の欧州PHEV販売ランキングでは、中国ブランドが上位3車種を占めました。1位はBYDの「シールU」、2位は小型SUV「ATTO 2」、3位はChery傘下の中型SUV「JAECOO 7」でした。2025年にPHEV販売首位だったVWの「ティグアン」は、4位に後退しました。

 こうした状況を受け、VWグループのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、欧州連合(EU)に対し、中国製PHEVへの追加関税を導入するよう求めています。

 VWグループは7月24日、上半期決算の電話会見を開きました。米国の関税や中国車メーカーとの競争などを受け、同社は2026年の売上高見通しを引き下げました。ブルーメCEOは会見で、EUの政策当局が今後数カ月以内に関連政策について合意することに期待を示しました。

 ブルーメCEOは、中国製EVに適用されている現行の関税制度を参考に、PHEVにも追加関税を導入するよう提案しました。現在、中国製EVには10%の基本関税に加え、最大35%の追加関税が課される場合があります。同CEOは、現行制度がPHEVを対象としていないと指摘しました。

 ドイツの経済紙「ハンデルスブラット」は6月19日、EU幹部や自動車業界関係者の話として、EUが中国から輸入されるPHEVへの追加関税を検討していると報じました。

 ブルーメCEOはこのほか、計画中の「メード・イン・ヨーロッパ」政策の実施、現地調達率に関する基準の設定、政府による支援、欧州域内での生産と連動した優遇措置の導入など、より広範な自動車産業政策を進めるようEUに求めました。

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