9月1日、中国で高い知名度を持つインフルエンサーの羅永浩(ルオ・ヨンハオ)氏が微博(Weibo)に投稿し、新エネルギー車(NEV)メーカー各社のAI大規模モデルについて「使い物にならない」と不満を表明し、広く注目を集めました。
羅氏はまず、「現在、中国の新エネルギー車メーカーの中で、完全版の高性能なAI大規模モデルをそのまま採用している企業はあるのでしょうか。例えば、豆包(Doubao)、通義千問(Qwen)、Kimiといった中国のトップクラスのモデルです」と問いかけました。
さらに、これまで数十台の車を試したうえで、「各社が開発しているモデルは、どれもゴミ同然です。なぜユーザー体験を優先して、最も優れた大規模モデルを導入しないのでしょうか。追加料金を取っても構いません。そうすれば、毎日1時間以上車内で過ごす時間を、もっと有効に使えるようになります」と述べました。
羅永浩氏は中国で著名な起業家・インフルエンサーとして知られ、その発言はしばしば業界内外で大きな反響を呼びます。
今回の問題提起は、車載AIの開発をめぐる現実的な課題も浮き彫りにしています。現在、中国の自動車メーカーは相次いで独自のAI大規模モデルの開発に乗り出しています。スマートコックピットのユーザー体験向上を目指す一方で、中核技術やユーザーデータ、システムの主導権を自社で確保したいという思惑もあります。
車内での音声データやナビゲーションの利用履歴、その他のユーザーデータを第三者のAIモデルで処理する場合、データ管理のあり方や外部プラットフォームとの関係を慎重に検討する必要があります。
そのほか、車載向け大規模モデルに「フルスペック版」がそのまま採用されにくい背景には、推論処理に時間がかかることや、通信環境が安定しないこと、生成内容に伴うリスク、さらには運用コストの高さなどもあるとみられます。
一方、ユーザーの関心はより直接的です。車載AIが実際に使いやすいかどうかです。「スマート化」を前面に打ち出した自動車を購入しても、車載音声アシスタントの質問応答や情報検索機能が、スマートフォンで利用できる汎用AIアプリに大きく劣るのであれば、次第に使われなくなる可能性があります。
同様の問題は、かつて車載ナビゲーションでも見られました。当初は多くの自動車メーカーが独自にナビゲーションシステムを開発していましたが、スマートフォンのナビアプリより使いにくいとの不満が相次ぎ、その後は高徳地図(Amap)や百度(Baidu)など専門事業者のサービスを車載システムに組み込む動きが主流となりました。
車載AI大規模モデルについても、今後同じような道をたどるのかが注目されます。
