このところ、中国の自動車メーカーによる米国内での工場建設を巡り、米国の自動車業界や連邦議会で懸念が示されています。
トランプ米大統領が中国メーカーの現地生産に容認姿勢を示す一方、自動車業界6団体は現行の市場参入規制を維持するよう政府に要請しました。上院では、超党派の議員が中国車に対する規制の恒久的な法制化を目指しています。
中国メーカーの米国内生産を巡り懸念
中国の自動車大手、BYDの会長兼総裁を務める王伝福氏については、習近平国家主席の訪米に同行する可能性があると事前に報じられていました(実際に同行したことは確認されていません)。
トランプ大統領は9月11日、米FOXニュースのインタビューで、中国メーカーが米国内に工場を建設し、自動車を生産することについて容認する考えを示しています。
ミシガン州選出の民主党上院議員、エリッサ・スロットキン(Elissa Slotkin)氏は、BYDなどの中国メーカーが米国内に生産拠点を設けた場合、北米の自動車メーカーや部品サプライヤー、販売店に競争上の影響が及ぶ可能性があると指摘しました。
現代自動車(Hyundai Motor)のホセ・ムニョス(Jose Munoz)CEOも、欧州市場で中国ブランドの販売が拡大している状況に言及し、米国では貿易障壁や現地生産要件が重要になるとの見方を示しています。
全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン(Shawn Fain)会長や、カナダの自動車部品工業会(APMA)、自動車産業コンサルティング会社ダン・インサイツ(Dunne Insights)からも、雇用や既存メーカーの事業への影響を懸念する声が上がっています。
自動車業界6団体、現行規制の維持を要請
こうした中、米国の自動車メーカーや部品サプライヤー、販売店などを代表する6つの業界団体は9月18日、トランプ大統領に連名の書簡を提出しました。書簡では、中国メーカーによる米国内での自動車販売、輸入、生産を引き続き制限するよう求めています。
これらの団体は、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード(Ford)、トヨタ自動車(Toyota)、フォルクスワーゲン(Volkswagen)、現代自動車、テスラ(Tesla)などの企業を代表しています。
業界団体は、中国メーカーの現在の米国市場シェアがほぼゼロであると指摘しています。
そのうえで、中国メーカーによる米国内での工場建設を認めた場合、既存メーカーから中国メーカーへ雇用が移る可能性があるほか、約1万7,000店の自動車販売店にも影響が及ぶとの見解を示しました。
また、国家安全保障上の問題についても懸念を表明しています。
上院議員、中国車規制の恒久法制化を推進
自動車業界が現行規制の維持を求める一方、連邦議会では中国車に対する規制を法律として恒久化する動きが進んでいます。
スロットキン氏と、オハイオ州選出の共和党上院議員、バーニー・モレノ(Bernie Moreno)氏は、「2026年コネクテッドカー安全法案(Connected Vehicle Security Act of 2026)」の成立を目指しています。
9月24日時点で、同法案には51人の上院議員が支持を表明しています。
両議員は当初、今週中に上院で全会一致の同意(Unanimous Consent)を得ることを目指していました。しかし、共和党のランド・ポール(Rand Paul)議員が懸念を示したため、可決に向けた手続きは翌週に延期されました。
米国ではすでに、2025年1月に公表されたコネクテッドカー規制により、中国企業に関連する特定の車載ソフトウェアやハードウェアなどが規制対象となっています。また、中国製EVには高額の輸入関税が課されています。
今回の法案は、こうした市場参入規制を法律として位置付け、行政機関による適用除外の権限を制限することを目的としています。
