国慶節の高速道路でEV充電待ち再び 充電設備8.9万基も集中需要に追いつかず

 中国では国慶節連休の移動ピークを迎えた9月30日夜から10月1日にかけて、高速道路のサービスエリアでEV(電気自動車)の充電待ちが相次ぎました。充電設備の増設が進んでいるものの、短時間に大量の車両が集中する大型連休では、依然として需要に追いつかない状況がみられます。

 SNSには各地の高速道路やサービスエリアの混雑ぶりを伝える動画が数多く投稿されました。渋滞を避けようと一足早く出発したものの、同じことを考えた人たちが一斉に移動したため、結局早い時間から渋滞に巻き込まれたという自嘲気味の投稿も話題となりました。

 例えば、湖北省の棗陽北サービスエリア東区では9月30日夜、充電希望車が集中したため、整理券を発行して順番に充電する方式が採られました。利用者によると、1回につき48台分の整理券を発行し、ピーク時には約200台が充電待ちとなりました。

 一部のサービスエリアでは、混雑時の充電設備の回転率を高めるため、充電量が80%に達した車両に充電スペースから退出するよう求める措置も実施されました。棗陽北サービスエリアでは、前方100km以上にわたり利用できる充電拠点が少ないことも、車両が集中した一因とされています。

 このほか、一部のサービスエリアでは5時間以上待ったとの報告もありました。G65包茂高速道路の達州北サービスエリアでは、バッテリー残量が1%まで低下した車両が走行不能となり、サービスエリアのスタッフやほかのドライバーが車両を充電設備まで押して移動させましたが、その時点でも充電待ちは数十台に上っていたと報じられています。

充電設備は8.9万基まで増加

 中国では高速道路の充電インフラ整備そのものは急速に進んでいます。

 交通運輸部によると、2026年9月末時点で全国の高速道路サービスエリアに設置された充電設備は約8万9,000基に達し、このうち大出力充電設備は約2万2,000基となりました。2026年1~8月だけでも大出力充電設備を約1万1,000基増設しており、これは2025年までに整備された大出力設備の累計に相当します。

 それでも、国慶節には短時間に大量の充電需要が集中しました。

 国家能源局(NEA)によると、国家充電施設監視サービスプラットフォームの対象となっている高速道路の充電設備6万2,700基では、10月1日の充電量が2,804万6,900kWhに達しました。前年の国慶節初日から60.4%増加し、祝日の1日当たりとして過去最高を記録しました。

課題は「設備数」から「集中需要への対応」へ

 今回の国慶節では、全国的にはすでに多数の充電設備が整備されているにもかかわらず、一部の高速道路サービスエリアでは長時間の充電待ちが発生しました。

 背景にあるのは、通常時の需要ではなく、大型連休に特定の時間帯、路線、サービスエリアへ充電需要が集中するという高速道路特有の問題です。

 全国で設備を増やしても、数時間のうちに特定地点へ通常時を大幅に上回る車両が流入すれば、その場所では充電能力が不足します。特に長距離移動では、次に充電できる場所までの距離も考慮する必要があるため、車両が特定のサービスエリアへ集中しやすくなります。

 中国の高速道路におけるEV充電問題は、単純な「充電設備不足」から、大型連休などの集中需要に対して、既存設備をいかに効率的に運用し、特定の時間帯や場所に発生するピーク需要を吸収するかという課題へ移りつつあります。