中国乗用車市場、6月小売販売は21%減 成長局面は転換点、販売・収益・コストの三重苦続く

乗連会(全国乗用車市場情報連席会)が7月3日に発表した速報値によると、2026年6月1~30日の中国乗用車市場の小売販売台数は165.1万台となり、前年同期比21%減となりました。2026年累計の小売販売台数は875万台で、前年同期比20%減となっています。
同期間のメーカー卸売販売台数は237.6万台で、前年同期比4%減でした。2026年累計では1,256.2万台となり、前年同期比5%減となっています。
6月の新エネルギー車(NEV)の小売販売台数は103.7万台で、前年同期比7%減となりました。累計小売販売台数は473.4万台で、前年同期比13%減でした。
一方、メーカーによるNEVの卸売販売台数は150.6万台となり、前年同期比22%増でした。累計卸売販売台数は681.2万台で、前年同期比6%増となっています。
6月のNEV小売浸透率は62.8%、メーカー卸売ベースの浸透率は63.4%となりました。
乗連会によると、昨年は端午節連休が5月31日に当たり、6月初旬の販売台数が高水準だったことから、今年6月第1週は前年同期比で大幅な減少となりました。また、消費者の様子見姿勢や大学統一入試前の消費低迷、「618」(6月18日)商戦の販促効果が限定的だったことも販売低迷の要因としています。
さらに、前年は一部地域で補助金予算の終了が近づいたことで駆け込み需要が発生しましたが、今年は政策運営が比較的安定しており、同様の需要喚起効果は見られませんでした。このほか、コスト上昇や家計所得の伸び悩み、燃料価格なども自動車消費に一定の影響を与えたと分析しています。
また、乗連会は、サッカーワールドカップの開幕によって消費者の支出や時間、関心が分散され、6月の自動車市場にも一定の影響が及んだと指摘しています。足元では燃料価格が低下し、小売販売は前月比で改善したものの、前年同期比では依然として厳しい状況が続いています。
市場全体を見ると、販売減少が2026年上半期の大きな特徴となっています。一部メーカーは販売台数の増加を発表しているものの、市場全体としては依然として厳しい状況が続いています。また、一部メーカーでは販売増加の多くを輸出が支えており、中国国内市場の伸びは限定的です。
例えば、Chery(奇瑞汽車)の6月販売台数は25万6,612台でしたが、このうち輸出台数は19万1,062台と約74.5%を占めました。
年間販売目標の達成状況を見ると、上半期終了時点で目標達成率が50%を超えたのはZeekr(極氪)の59.5%のみでした。多くの新興EVメーカーは30%前後にとどまっており、年間目標の達成に向けて下半期は大幅な販売拡大が求められる状況です。
その一方で、新型車の投入ペースは依然として高い水準にあります。バイトダンス出資の自動車情報会社「懂車帝」のデータによると、2026年1~5月に中国国内で発売された新型車は550車種に達し、1日当たり平均3車種以上が市場投入されました。販売の伸びが鈍化する中、これほど多くの新型車のうち、ヒットモデルとなる車種がどれだけ生まれ、市場で不発に終わる車種がどれだけ出るのかが問われています。
収益面でも業界全体の厳しい状況が続いています。乗連会の崔東樹事務局長によると、2026年1~5月の中国自動車業界の利益は1,440億元となり、前年同期比20%減少しました。業界全体の利益率は3.4%にとどまり、2月には一時2.9%まで低下しています。
完成車メーカーの中には依然として赤字が続く企業もある一方、電池や自動運転関連など一部の上流サプライヤーは比較的高い収益性を維持しています。完成車メーカー各社は収益改善に向け、「8系」「9系」と呼ばれる中大型SUVなど価格帯の高い車種の投入を拡大し、販売単価の引き上げによる利益率改善を図っています。
さらに、半導体など原材料価格の上昇を背景に、一部の先進運転支援システム(ADAS)のオプション価格や車両価格も引き上げられています。
BYD(比亜迪)は5月1日から、「王朝網」「海洋網」「方程豹」の一部車種向け「天神之眼B」レーザーADASパッケージの価格を9,900元から1万2,000元へ約21%引き上げました。また、ファーウェイ(華為)は7月1日から「乾崑ADS Max」および「Ultra」の価格を1万2,000元から1万5,000元へ改定しています。
このほか、Chery・EXEED(星途)、シャオミ(小米)、長安啓源、GAC AION(広汽埃安)、テスラなども今年、一部車種やオプション価格を相次いで引き上げました。
2026年夏季ダボス会議でVoyah(嵐図汽車)の盧放会長は、原材料価格の上昇を背景に、自動車価格は今後上昇する可能性が高いとの見方を示しました。高価格帯モデルはコスト上昇への耐性が比較的高い一方、低価格帯モデルはより大きな影響を受ける可能性があるとしています。
また、コスト要因に加え、新エネルギー車に対する購入税優遇制度の見直しも市場に影響を与えています。購入税の全額免除が半額免除へ変更されたことで、価格に敏感な低価格帯の新エネルギー車市場には一定の影響が及んでいます。
現在の中国自動車市場は、販売の伸び鈍化、業界全体の低収益、コスト上昇という複数の課題に直面しています。中国自動車市場がこれまで享受してきた成長局面は、一つの転換点を迎えつつある可能性があります。