イタリア自動車工業会(ANFIA)のデータによると、2026年1~8月のイタリアの新車登録台数は112万9,600台となり、前年同期比8.5%増加しました。同期間の中国製自動車の登録台数は同92.1%増加し、市場シェアは15%に上昇しました。前年同期の約8.5%から約6.5ポイント拡大したことになります。
一方、欧米や日本、韓国の複数のブランドでは、イタリア市場でシェアが低下しました。
主要欧米日韓ブランドのシェア変化

これら7ブランドの市場シェアは合計で約6.2ポイント低下しており、同期間に中国製自動車が拡大した約6.5ポイントに近い水準となっています。
中国ブランドでは、BYD、Leapmotor(零跑)、Chery(奇瑞)傘下のOmoda、Jaecooのシェア拡大が目立ちます。
主要中国ブランドのシェア変化

BYD、Leapmotor、Omoda・Jaecooのシェアは合計で約5.8ポイント拡大しました。SAIC(上汽)傘下のMGの登録台数も3万5,296台から3万7,412台に増加しましたが、イタリアの新車市場全体が拡大したため、市場シェアは小幅に低下しました。
これらのデータだけでは、中国ブランドの販売増と特定ブランドの販売減少との間に直接的な対応関係があるとは言えません。ただ、市場全体の構成を見ると、中国製自動車が急速にシェアを伸ばす一方、複数の既存ブランドではシェアが低下しています。
こうしたなか、ANFIAのロベルト・ヴァヴァッソーリ(Roberto Vavassori)会長はこのほど、EUに対し、中国製自動車および自動車部品に対する関税制度の見直しを求めました。
ロイターによると、ヴァヴァッソーリ会長は、中国からの輸入車について、EUの年間新車登録台数に占める割合が8%以下の部分は無関税とする一方、8%を超える部分には80%の関税を課す仕組みを提案しました。また、自動車の価値の約80%を部品が占めるとして、この制度を完成車だけでなく自動車部品にも適用すべきだとしています。
欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、2026年上半期のEU市場における中国ブランド車の販売シェアは9%を超えました。
ヴァヴァッソーリ会長は、欧州の自動車サプライチェーンの先行きについても懸念を示しています。2025年のイタリア自動車部品メーカーによるドイツ向け輸出額は49億ユーロに達し、このうちフォルクスワーゲン(VW)向けが約20%を占めました。欧州での自動車生産の縮小を背景に、2026年上半期のイタリアの自動車部品輸出は前年同期比4.6%減少しました。同氏は、通年では10%程度減少する可能性があるほか、2028年までに減少幅が40~50%に拡大する可能性があると予測しています。
現在、EUは自動車輸入に対する標準関税10%に加え、中国製電気自動車(EV)に追加関税を課しています。メーカーごとの合計税率は約18~45%となっています。この措置は2024年に導入され、有効期間は5年間です。
ヴァヴァッソーリ会長はまた、EUが検討している「産業加速法案」と、中国自動車メーカーが欧州で生産する際の現地調達比率についても懸念を示しました。BYDやCheryなどは欧州で生産拠点の整備を進めていますが、同氏は、今後も中国や欧州周辺の比較的コストの低い国から多くの部品を調達する可能性があるとみています。このため、中国メーカーによる欧州での生産拡大が、現地の自動車部品産業の成長にもつながるかどうかは、今後の動向を見極める必要があります。
