中国のEU向け自動車輸出、1~9月に183万台 PHEVが372%増で成長をけん引

 11月1日、中国自動車流通協会乗用車市場情報分会(乗連会)の崔東樹幹事長が発表した「中国乗用車のEU向け輸出動向」によると、2026年1~9月の中国のEU向け自動車輸出は前年同期比87%増の183万台に達し、2025年通年の輸出台数をすでに上回りました。9月単月の輸出台数は27万9,000台で、前年同月比128%増、前月比29%増となり、過去最高を更新しました。

 EUが中国製の電気自動車(BEV)に追加の反補助金関税を課すなか、中国の自動車輸出は高い成長を維持するとともに、パワートレイン別の構成やメーカー間の競争構造にも大きな変化がみられます。プラグインハイブリッド車(PHEV)が輸出拡大の主要なけん引役となり、BYD、奇瑞汽車(Chery)、吉利汽車(Geely)などの中国メーカーが欧州市場で事業を急速に拡大しています。

PHEV輸出が372%増、パワートレイン構成の転換が加速

 データによると、2026年1~9月の中国のEU向けPHEV(レンジエクステンダー式EVを含む)輸出は前年同期比372%増の65万4,000台に達し、輸出拡大を支える主要な成長分野の一つとなりました。

 一方、BEVの輸出もEUの追加関税による圧力を受けながら高い伸びを維持しました。また、通常のハイブリッド車(HEV)の輸出は前年同期比91%増の18万4,000台となりました。

 こうした変化は、EUの関税政策と密接に関係しています。EUは2024年から中国製BEVに追加の反補助金関税を課していますが、PHEVやHEVは現在、この追加関税の対象となっていません。そのため、中国メーカーはBEVの輸出拡大を続ける一方、PHEVやHEVの欧州市場への投入も加速させており、複数のパワートレインを並行して展開する輸出構造へと移行しつつあります。

BYDが67万5,000台で首位、吉利・奇瑞も急成長

 メーカー別では、BYDが引き続き首位を維持しています。2026年1~9月のBYDのEU向け輸出は前年同期比295%増の67万5,000台となりました。奇瑞汽車は同214%増の27万台で2位、上汽乗用車は同20%増の26万8,000台となり、伸び率は比較的低い水準にとどまりました。

 その他のメーカーも急速に輸出を拡大しています。吉利汽車のEU向け輸出は前年同期比991%増、零跑汽車(Leapmotor)は427%増、小鵬汽車(XPeng)は172%増となりました。広汽埃安(GAC Aion)と広汽伝祺(GAC Trumpchi)も、それぞれ1,018%増、1,045%増と大幅に伸長しました。ただし、これらの高い伸び率には、前年の輸出規模が小さかったことも影響しています。

 パワートレイン別にみると、PHEV分野ではBYDの優位性が際立っています。1~9月の輸出台数は前年同期比426%増の40万6,000台に達し、中国のEU向けPHEV輸出全体の約62%を占めました。奇瑞汽車がこれに続き、吉利汽車も領克(Lynk & Co)などのブランドを中心に8万2,000台を輸出しました。

 BEV分野では、BYDが前年同期比185%増の26万7,000台、吉利汽車が同438%増の4万4,000台を輸出しました。零跑汽車と小鵬汽車のBEV輸出もそれぞれ3万台を超え、中国の新興EVメーカーが欧州市場で事業を拡大していることがうかがえます。

 一方、上汽乗用車のBEV輸出は前年同期比53%増の6万1,000台となり、一部の競合メーカーに比べて伸び率が低い水準にとどまりました。ただし、HEV分野では引き続き強みを維持しており、MGブランドが欧州市場で築いてきた販売基盤を背景に、輸出台数は13万1,000台に達しました。

中国ブランドの欧州市場シェア、日本ブランドを初めて上回る

 中国からの自動車輸出が急増する一方、中国ブランドの欧州新車市場におけるシェアも拡大を続けています。

 市場調査会社Dataforceの統計によると、2026年第3四半期(7~9月)の欧州新車市場における中国ブランドのシェアは12.7%に達し、日本ブランドの11.9%を四半期ベースで初めて上回りました。

 過去5年間を振り返ると、中国ブランドの欧州市場シェアは1%未満から2025年には約6%まで拡大しました。2026年9月にはさらに14.5%に上昇し、8月を約3ポイント上回って過去最高を更新しました。

 なお、Dataforceの統計は欧州市場における新車登録台数を対象としており、中国からEUへの輸出台数とは対象地域や集計基準が必ずしも一致していません。

 全体として、中国メーカーの欧州市場における成長は、従来のBEV中心から、BEV、PHEV、HEVを並行して展開する構造へと変化しています。特に、EUが中国製BEVに追加関税を導入したことで、PHEVは中国メーカーが欧州事業を拡大するうえで重要な突破口となっています。

 ただし、中国ブランドの市場シェア拡大に伴い、欧州の自動車産業が直面する競争圧力も高まっています。今後、中国メーカーがこうした成長を維持できるかどうかは、EUの通商政策や欧州市場の需要動向、現地生産体制の整備などに左右されるとみられます。