ファーウェイ(Huawei、華為)とセレス(SERES、賽力斯)は9月30日、深圳市で「問界(AITO)事業高度化戦略協力」の調印式を開き、新たな5年間の協力契約を締結しました。ファーウェイ常務董事で端末BG董事長の余承東氏、セレスグループ董事長の張興海氏らが出席しました。
今回の発表では、両社が引き続き問界事業で協力し、問界事業の専属チームを共同で設置し、商品やサービス、ユーザー体験の向上を進める方針が示されました。一方、契約の具体的な役割分担や技術供給、販売チャネルなどの詳細については、現時点では公表されていません。
9月15日に問界の主導権をセレスへ移管
今回の契約を理解するうえで重要なのが、わずか15日前の9月15日に発表されたファーウェイとセレスの協力モデルの変更です。鴻蒙智行(Harmony Intelligent Mobility Alliance:HIMA)と問界は同日、問界について新たな協力モデルへ移行すると発表しました。
9月15日に発表された新しい協力モデルでは、「セレス主導・ファーウェイ支援」という役割分担に加え、問界ブランドを「専属専営」とする方針も打ち出されました。
具体的には、商品企画、商品設計、ブランドマーケティング、販売チャネル、小売、サービス体系をセレスが主導し、ファーウェイの端末部門が支援する体制へ移行します。問界側の公式説明でも「問界ブランド専属専営」として、問界ブランドを専属体制で運営していく方針が示されました。既存ユーザーの権利やアフターサービスには影響しないとしています。
この変更は問界だけを対象としたもので、尊界(MAEXTRO)、享界(STELATO)、智界(LUXEED)、尚界(SAICとファーウェイによるブランド)の4ブランドについては、ファーウェイが商品企画からマーケティング、販売などを一貫して主導する従来の協力モデルを維持します。
新5年契約は9月15日の方針を撤回したものではない
このため、9月30日に発表された「新たな5年間の協力」は、9月15日の協力モデル変更を撤回し、従来のファーウェイ主導体制に戻すものとは考えにくい状況です。
今回の発表では、問界事業について「両社共同」「専属チーム」といった表現が使われていますが、商品企画やマーケティング、販売、サービスの主導権をファーウェイへ戻すとは発表されていません。
むしろ今回も「専属専営」が重要なキーワードとして改めて盛り込まれており、9月15日に示された新しい役割分担と基本的に整合しています。
つまり、9月15日に明らかになったのは「今後、問界を誰が主導するのか」という役割分担の変更であり、今回の5年契約では、その新たな関係の下で「ファーウェイとセレスが今後どの程度の期間、協力を継続するのか」が明確になったと見ることができます。
ブランド運営面ではセレスが問界の主導権を握り、独自の販売・サービス体制を強化します。一方でファーウェイとの関係を切り離すのではなく、鴻蒙智行の一員として、引き続きファーウェイの技術や事業支援を受けるという形です。
ただし、専属チームの具体的な構成や「専属専営」の具体的な運用方法、ファーウェイ店舗での問界の取り扱い、技術供給や費用負担など、実務面の詳細はまだ明らかになっていません。今後、これらがどのように具体化されるかが、問界の「セレス主導」体制の実態を判断するポイントになりそうです。
