新エネルギー車情報サイト「第一電動」のデータによると、中国の2026年8月の都市NOA(都市部ナビゲーション支援)搭載台数(注)は42万7,000台となり、前月比9.1%増加しました。乗用車市場に占める搭載率は27.9%に上昇し、年初来最高を更新しました。
都市NOAの月間搭載台数は5月以降、40万台前後で推移しており、全体として伸びは鈍化しています。一方、価格帯別では普及の中心が20万元以上の高価格車から10万~20万元クラスへと広がり始めており、市場構造は大きく変化しています。
ファーウェイ、DeepRoute、Momentaの3社が接戦
都市NOAの第三者システムサプライヤーでは、8月にDeepRoute(元戎啓行)が6万2,100台を搭載し、Momentaの6万1,300台を上回って2位に浮上しました。
首位はファーウェイ(Huawei、華為)で6万8,600台を維持しましたが、市場シェアは16.0%まで低下しました。DeepRouteは14.5%、Momentaは14.3%となり、首位と3位の差はわずか1.7ポイントに縮小しています。
ファーウェイのシェアは1月の24.4%から8月には16.0%まで低下しており、これまでのファーウェイ優位の構図から、ファーウェイ、DeepRoute、Momentaによる「3強」の競争へと移行しつつあります。
DeepRouteの8月の伸びを支えたのは新型車です。長城汽車の哈弗(Haval)H10が7,024台、坦克(Tank)300Lが5,968台、零跑(Leapmotor)D99が2,532台を占めました。
第三者システムが約6割、自社開発勢は人気車種で優位
8月には、ファーウェイ、DeepRoute、Momenta、千里浩瀚、Horizon Robotics(地平線)、卓馭、WeRide(文遠知行)の第三者システム7社による都市NOA搭載台数が合計25万1,300台となり、市場全体の58.7%を占めました。
これに対し、Tesla、Li Auto(理想汽車)、シャオミ(Xiaomi、小米汽車)、NIO(蔚来汽車)、XPeng(小鵬汽車)の自社開発5社は合計17万7,000台で、シェアは41.3%でした。
ただし、車種単位で見ると、自社開発メーカーの強さが目立ちます。
月間搭載台数5,000台以上を「人気車種」とした場合、8月は第三者システム、自社開発勢ともに13車種となりました。しかし、自社開発勢の13車種は合計15万6,000台、1車種当たり平均約1万2,000台だったのに対し、第三者システム側は合計9万1,000台、平均約7,000台にとどまりました。
第三者システムは多数のメーカーや車種への採用を増やすことで搭載台数を拡大している一方、Teslaやシャオミ、Li Autoなどは少数の主力モデルで大きな搭載台数を確保しています。
20万元以上では搭載率60%超
都市NOAの普及が最も進んでいるのは20万元以上の市場です。
この価格帯の都市NOA搭載率は1月の40.2%から8月には60.8%まで上昇しました。搭載台数も約23万2,000台から31万7,000台へと、約8万5,000台増加しています。
一方、この価格帯の乗用車保険登録台数は57万6,000台から52万2,000台へ減少しました。特にガソリン車は31万台から17万4,000台へ大幅に減少し、市場に占める比率も53.8%から33.3%へ低下しています。
都市NOAの搭載率が高いNEV(新エネルギー車)への置き換えが進んだことが、20万元以上の市場における都市NOA搭載率の上昇につながっています。現在のペースが続けば、年末には同価格帯の搭載率が70%前後に達する可能性があります。
10万~20万元が次の主戦場に
今後の成長市場として注目されるのが、10万~20万元の価格帯です。
同価格帯の都市NOA搭載率は1月の4.7%から8月には14.2%へ上昇し、搭載台数も3万3,000台から9万9,000台へ約3倍に増えました。
増加分の約9割を第三者システムサプライヤーが占めています。1~8月の増加台数は、Momentaが約2万4,100台、DeepRouteが約1万2,400台、Horizon Roboticsが約7,200台などとなっています。
20万元以上の市場では都市NOAの標準装備化が急速に進む一方、10万~20万元クラスでは第三者サプライヤーによる低コストの運転支援システムの採用が拡大しており、今後の最大の競争市場となりそうです。
10万元未満にも都市NOA
さらに、10万元未満の低価格車市場でも都市NOAの搭載が始まっています。
同価格帯の搭載率は1月の0.04%から8月には3.6%まで上昇し、搭載台数は100台未満から約1万400台に増加しました。
現時点では、ほぼDeepRouteのシステムが占めており、零跑A10が9,179台、零跑A05が1,177台となっています。
中国の都市NOA市場は、20万元以上ではすでに普及段階に入り、10万~20万元では本格的な拡大期、10万元未満では導入初期という三つの段階に分かれています。
今後は、都市NOAの普及が高価格EVだけにとどまらず、10万~20万元、さらに10万元未満の量販車へどこまで広がるかが、中国の高度運転支援システム市場の成長を左右することになりそうです。
注:第一電動は、乗用車の端末保険登録データ(终端上险数据)を使用し、「全シーン都市NOA」が提供された車両を集計、標準装備だけでなく有料オプションも推計して含めていると説明しています。
