EUは対中国電気自動車に対する追加関税の投票を延期しました。この背景には、中欧双方がこの問題に関して協議を続けている複雑な状況が反映されています。

　当初、EUは9月25日に中国から輸入される電気自動車に最終的な関税を課すかどうかの投票を行う予定でしたが、この日程はEUの各国会議の議題から削除されており、新しい投票日はまだ決まっていません。早ければ9月30日の週に投票が行われる可能性があります。

　この投票では、中国からの電気自動車に対し、7.8%から35.3%の関税を課すかどうかが問われ、結果は中欧間の貿易関係に直接影響を与えることになります。投票が延期されている一方、両者は「価格コミットメント」交渉を通じて解決策を引く続き模索しています。

　近日、中国商務省の報道官は、両者が最低輸出価格に基づく価格コミットメントの交渉を継続しており、EUが中国製電気自動車に対する関税を回避する合意に至る可能性があると述べました。しかし、EUは一度中国が提示した最低輸出価格を拒否しており、その条件がEUの要求を満たしていないとしています。しかしその後、中国側が妥協し、さらなる協議が行われた可能性があります。このことが、EUが追加関税の投票を延期した一因であるかもしれません。

　報道官によると、技術チームは解決策に向けた協議を積極的に進めており、EUが最終的な決定を下す前に合意の枠組みに達することを期待しています。中国の王文濤商務相とEU貿易担当者のバルディス・ドンブロウスキス氏はこれまで何度も会談を重ね、WTOルールに基づく解決策を見つけるために対話を行い、意見の相違を解消する政治的意志を明確にしています。

　注目すべき点は、EU内で電気自動車関税に対する意見が統一されていないことです。特にドイツやスペインは明確に関税の追加に反対しています。EUは多方面から圧力を受けており、中国との膨大な貿易関係により、その対中政策は脆弱な状態にあります。2023年のEUの対中輸出額は2300億ユーロに達する一方、中国からは合計6260億ユーロの商品を輸入しており、巨大な貿易赤字を抱えています。

　EUが最終的に妥協する可能性は高まっています。内部の意見の違いや中欧間の貿易戦争に対する懸念を背景に、EU委員長フォン・デア・ライエンの強硬姿勢は徐々に和らいでいます。スペインやアイルランドなどは、中国の電気自動車に関税を課せば、ブランデーや豚肉など欧州製品の輸出が中国から制限を受ける可能性があると懸念しています。こうした貿易依存や内部の圧力により、EUは関税ではなく価格コミットメントを通じて問題を解決し、事態の悪化を防ぐ方向に進む可能性が高いと考えられます。