DiDiが自動運転事業分割でIPOに備える?

7月29日、DiDiは自動運転業務を分割する意向を示唆しており、元順為資本の執行役員の孟醒氏が新会社の責任者に就任すると同時に、新会社の資金調達を担うことになると報じられている。

DiDiの自動運転業務は過去数年間、目覚ましい成果を遂げていない。今回は金食い虫の自動運転業務を切り離すことは、IPOに向けた計画の一環となり、新会社を設立して融資を行うことで、自動運転業務に新たな発展空間と時間を与えることができる。

2012年に設立されたDiDiはわずか7年間で14回の融資を経験し、累計融資額は240億米ドルを超え、元に換算すると1650億元に達した。DiDiは最もお金に困らない会社であるべきだと思われているかもしれないが、そうではない。

ほぼ世界で最も融資ラウンド数の多い未上場企業としては、DiDiの「金食い」のスピードは、その資金調達のスピードを遥かに上回っている。

2018年のDiDiの損失額は109億元に達し、今年2月には15%の人員削減計画を発表した。実際、創業者兼CEOの程維氏自身さえ、DiDiが設立されてから利益を上げておらず、累積赤字は400億元に達しており、将来的に利益を出せるかどうかは不透明だと公言している。

では、DiDiの「お金」はどこで使われているだろうか?

ある業界関係者は、DiDiには明らかに大きなリスクが存在しており、DiDiは、会社の存続にかかわる巨大な運送力を維持するために、常にドライバーに対して巨額のインセンティブを支払っており、しかも当たり前となっている。これは、DiDiがドライバーにインセンティブを支払い続けることをやめたいのにやめられないことを意味している。2018年、DiDiは109億元の赤字となり、それと同時にDiDiの同年のドライバーへの補助金総額は113億元に達した。

注目すべきは、先週トヨタが投資した6億ドルを差し置いて、DiDiの前回の大規模融資が遡ったのが2018年4月だったことだ。つまり、赤字が続く前提では、もはやDiDiにもう「蓄え」はない。

また、巨損の瀬戸際に立たされても、DiDiは拡張の野心と実際の行動は止まらない。近年、DiDiは中国国内で狂気じみた業務拡張を行っており、ネット配車業務のほか、出前サービス、シェア自転車、シェアバス、サイバーセキュリティ、クラウドコンピューティングなどの分野に投資してきたが、今では最もお金がかかる自動運転にも発展の重点を置いており、1つ1つ取り上げると、どれも「吹きだまり」のような「大金を燃やす」事業となり、赤字は必至だ。

次に上場のためだ。公開資料によると、2017年4月、ソフトバンクはDiDiに55億ドルを投じ、DiDiの評価額を500億ドルに持ち上げた。同年末、DiDiは40億米ドルを再融資したものの、評価額は逆にやや下がった。一部の投資家から見ると、DiDiの評価値が上がらないのは、主にネット配車分野の約9割の市場シェアを占めているものの、資本市場が期待する「プレミアム」を「独占的地位」で実現できず、赤字が減らないためだ。

このほか、DiDiは自動運転などの新技術の開発に投資してきた。しかし、1つのコストパフォーマンスに優れた自動運転車を開発するのは当初の予想よりもはるかに難しく、時間とコストがかかる。その際、外部投資の導入、自動運転業務の分割、そしてIPOは経営者が考える優先課題となっている。

裏返して考えると、自動運転業務の分割は、DiDiの自動運転の野望を明らかしている。3月、DiDiはスマート運転車技術、自動運転車技術、自動車部品技術分野での技術開発などを手掛ける上海滴滴沃芽科技有限公司(滴滴沃芽)を設立した。これは現在、DiDi傘下の子会社で唯一、自動運転車の設計を主な業務としている会社だ。

言い換えれば、これまで滴滴が自動運転事業で重大な戦略的布石を打ってきたものとみなされ、独立子会社が運営することで、後続の自動運転事業の独立融資、上場に向けた準備ができる可能性も高い。

このことから、DiDiはお金をばら撒き、赤字を垂れ流しながら、他方、自動運転分野への投入を重ねていることがわかる。

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