「懂車帝」衝撃テスト:スマート運転36車種は本当に安全? 結果は「安心には程遠い」

7月23日から、自動車情報プラットフォーム「懂車帝(ドンチャーディ)」は、CCTV(中国中央テレビ)と共同で実施した実景自動運転支援テスト番組「懂車智煉場」を公開しました。都市部および高速道路、昼夜を含むさまざまな複雑な走行シーンを再現し、市場で主流となっている36車種の自動運転支援システム(ADAS)を包括的に評価しました。

全2時間41分に及ぶこの大規模なテスト動画は、現在の「スマート運転」システムに対して、明確かつ冷静な結論を突きつけました――「安心して任せられるレベルには、まだ遠い」ということです。

実路を模した「極限シナリオ」が明かす、各車の重大な弱点

このテストは、従来の閉鎖コースや実験室環境とは異なり、15キロに及ぶ実際の道路を封鎖して実施されました。内容には、高速道路での突発的な工事、前方車両の急ブレーキや突然の車線変更、夜間の障害物検知、歩行者の飛び出しなど、高リスクなシナリオが含まれています。

都市部のテストでは、子どもの急な飛び出し、交差点での割り込み、横断歩道での歩行者との遭遇といった、事故誘発率の高いが再現の難しいケースが多数用意されました。

対象車種には、ファーウェイ(華為)、シャオミ(小米)、BYD(比亜迪)、Li Auto(理想)、NIO(蔚来)、Tesla(テスラ)などの人気ブランドが含まれ、実走行テストは400回以上にのぼりました。

その結果は、多くのドライバーや専門家の予想を大きく裏切るものでした。高速道路シーン183回中、成功通過はわずか44回で、通過率は24%。都市道路シーンでは233回中103回成功し、通過率は44.2%と、依然として過半数に届いていません。

つまり、現時点の高度運転支援システム(ADAS)は、現実の複雑な状況においては十分に対応できていないことが明らかになりました。

自動運転技術の「トップランナー」は存在せず

「懂車智煉場」のテストで最も衝撃的だった発見の一つは、「ファーウェイの自動運転技術がトップレベルである」という見方を覆したことです。

最高水準と宣伝されているファーウェイの乾崑ADSシステムを搭載し、4基のLiDARを備えたAITO(問界)M9であっても、複数のテストで重大なミスを犯しました。例えば、夜間の高速道路で工事中の区間に停車していた大型トラックに衝突したり、昼間の高速道路で障害車両が突如現れた際に安全に回避できなかったりしたのです。

若者の間で人気急上昇のシャオミSU7は、いくつかの障害シナリオで、衝突のわずか0.1秒前に「スマート運転からの解除」を通知することが多く、ドライバーに残されたのは回避行動の時間ではなく、事故後の責任を問われる苦い結果でした。

高価格≠高性能、ブランド≠安全保証

テスト結果は「高価格の車ほど安心・高性能である」という通説にも疑問を投げかけました。例えば、複数のファーウェイ系高級車は、最先端のハードウェア(最大4基のLiDARなど)を搭載しながらも、夜間の複雑なシナリオで衝突を回避できませんでした。

一方、BYDのエントリーモデルである秦Lやシーガル(海鸥)は、よりシンプルなカメラベースの視覚認識方式(天神の眼C)を採用し、単純に急ブレーキをかけて、ぎりぎりで停止できたなど、意外なパフォーマンスを見せました。

このことから、ハードウェアの数や価格ではなく、システム構成・アルゴリズム・車両チューニングこそが、安全性を左右するカギであることが分かります。

アルゴリズムの性格が走行結果に直結、「積極型」は必ずしも正義ではない

テストでは、各社が採用する制御戦略にも大きな違いが見られました。特にファーウェイやLi Auto、シャオミなどの一部車両は、障害物に直面した際に「積極的に追い越す」ことを優先し、減速や停止判断を後回しにする傾向が見られました。

一見するとスムーズで「ベテランドライバー」のように見えるこれらの動作は、実際には重大な安全リスクをはらんでいます。例えば、実線での強引な車線変更や、予測困難な障害物への対応の遅れが原因で、危険な挙動が複数回確認されました。

見栄えの良い挙動と、安全性能とは、必ずしも一致しません。

同じプラットフォームでも車種によって差、システムの一貫性に課題

同一のスマート運転システムを搭載していても、車種が異なれば挙動も大きく変わる――これも今回のテストで浮き彫りとなりました。

たとえば、BYDの「天神の眼C」はシーガルでは良好な結果を示しましたが、宋Pro DMでは施工エリアに衝突するという重大なミスを犯しました。また、同じ乾崑自動運転システムを搭載したファーウェイ系のAITO(問界)M7・M8・M9の3車種も、走行結果に明確なばらつきがありました。

このことは、運転支援システムが単に「搭載されているか否か」ではなく、車両の物理構造や制御との融合度によって、大きく性能が左右されることを示しています。

伝統的自動車メーカーのスマート運転システムも、全体的に信頼性に欠ける

テスト結果では、期待を下回るパフォーマンスを見せたブランドも明確に浮き彫りになりました。たとえば、Geely(吉利)傘下のLYNK & CO(領克)900は、ほぼすべてのテストシナリオで適切に対応できず、兄弟車種であるZEEKR(極氪)001も同様に低調な結果に終わりました。

さらに、トヨタやベンツ、フォルクスワーゲンといった外資系の伝統的自動車メーカーのスマート運転システムにも目立った強みは見られず、地場ブランドの車両と同様に、障害物の回避や安全な停止といった基本動作に課題があることが確認されました。

一方、テスラのFSD(完全自動運転)は中国国内では正常に使用できず、バージョンも古いにもわらず、大部分のシナリオでは確実に停止できており、安全の面では他社より優れていると言えます。

結論:「スマート運転」はまだ「未完成」、過信は禁物

多くのネットユーザーはこの「懂車智煉場」のテストを見て、スマート運転に対する認識を改めたという声を上げています。「スマート運転(智能駕駛、智駕)」という言葉は日常化していますが、現時点で市販されている多くのシステムは、理想的な状況下でのみ機能し、現実の複雑かつ不確実な道路環境を完全にカバーするにはほど遠いのが実情です。

いわゆる「スマート運転」は、あくまで補助機能であり、決して「自動運転の代替」ではありません。システムを「信頼」する前に、安全を守る責任がどこにあるのかを忘れてはなりません。

「懂車智煉場」成績表(高速道路シーン)

「懂車智煉場」成績表(都市道路シーン)

出典:懂車帝

 

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