Pony.ai、ルクセンブルクでRobotaxiの公道試験を開始──欧州展開を進行、単車採算ラインも視野に

2025年、自動運転スタートアップのPony.ai(小馬智行)は、海外展開の一環として、ルクセンブルクでRobotaxiの公道走行試験を開始しました。これは、中国国内の複数都市での運行に続くもので、同社にとって欧州市場における実証ステップとなります。
現地では、150年の歴史を持つモビリティ企業Emile Weberと提携しています。第1フェーズの試験は、ルクセンブルク南東部のレンニンゲン市で始まっており、今後は試験エリアの拡大が予定されています。試験現場には、経済相のレックス・デレス氏や運輸・公共事業相のユリコ・バッケス氏らが視察に訪れており、ルクセンブルク政府も一定の関心を示している様子です。
Pony.aiはすでにルクセンブルクに欧州R&Dセンターを設立しており、現地当局の許可を得て試験を実施しています。将来的には、同国および欧州における自社技術の活用を視野に入れています。
使用する車両には、複数のLiDAR、カメラ、ミリ波レーダーが搭載されています。仮想環境での走行データをもとに自動運転アルゴリズムを鍛える「PonyWorld」や「Virtual Driver」といった技術も導入されています。
累計走行距離は世界で4,500万kmを超えており、中国国内では北京、上海、広州、深圳などでサービス展開を進めてきました。完全無人走行による累計試験時間は50万時間を上回っています。
2025年の第1四半期には、売上が前年比で12%増加しました。中でもRobotaxi事業の売上は前年比200%増、運賃収入は800%増となり、事業拡大に伴う収益の増加が確認されています。登録ユーザー数も、前四半期比で20%以上増加しました。
コスト面では、第7世代のRobotaxiプラットフォームが導入され、センサー類の量産効果などにより、車両1台あたりの構成部品コスト(BOM)は約70%削減されたとされています。また、低価格の国産GPUやLiDARの採用も、コスト低減に寄与しています。
研究開発費は同四半期に2.95億元(約65億円)となり、前年同期比で38%増加しました。これは、商用化と量産体制の構築を目的とした投資と位置づけられています。
Robotaxiの1日あたりの平均受注数は15件を超え、稼働車両数は250台以上に達しています。年末には1,000台規模への拡大が予定されており、収支均衡点への到達も視野に入ってきています。同社CEOの彭軍(ペン・ジュン)氏は、「1台ごとの採算が確保される段階に近づいている」と述べています。
グローバル市場では、2025年がRobotaxi商用化の再始動の年とされており、米国ではテスラやWaymoが展開を進める中、中国企業としてPony.aiも具体的な展開を進めています。サービス利用に対する料金支払い、制度整備、企業投資といった要素が一部地域で成立しつつあります。
今回の欧州での実証は、単なる技術展示にとどまらず、自動運転商用化を視野に入れた長期的な取り組みの一環と見られています。今後は、システムの安定性や利用定着、ハードウェアコストなど、複数の要素が持続的に検証される見込みです。