シャオミSU7、約11.7万台をリコール──自動運転ソフトに重大欠陥、当局が新基準策定へ

9月19日、中国国家市場監督管理総局の公告によれば、新興メーカーのシャオミは一部のSU7標準版電動車をリコールすると発表しました。対象は2024年2月6日から2025年8月30日までに生産された116,887台で、2種類のモデルが含まれます。

公告によると、リコール対象車はL2高速ナビゲーション支援機能を使用する際、特定の極端な状況下で認識の遅れ、警告の不十分さ、対応の不足が生じる可能性があり、運転者が適切に介入しなければ衝突リスクが高まる恐れがあるとされています。シャオミはOTA(遠隔アップデート)によってソフトを無料で更新し、利用者は店舗に出向くことなく修復を完了できるとしています。

SU7は同社初の量産車で、2024年3月の発売以来、累計販売は30万台を超えています。標準版の価格は21.59万元、Pro版は24.59万元、Max版は29.99万元です。今回のリコール対象は累計販売台数の約30%に相当し、規模は大きいといえます。

同じOTAアップデートであっても、他の自動車メーカーの場合は「リコール」とは呼ばれません。これは、他社のOTAは設計や性能による重大な安全事故を引き起こしていないからです。一方、シャオミの今回のOTAは自動運転ソフト設計に重大な安全上の欠陥が関わっており、技術安全に関わるOTAは市場監督管理総局と工業情報化部に届け出たうえで「リコール」として配信することが法律で義務づけられています。

実際、今回のリコール以前から、高速道路でのナビゲーション支援走行中に異常な挙動があったとするユーザーの報告は相次いでいました。今年前半には、車線認識や障害物への反応に不確実性を示したり、理由のない急停止や逸脱を起こしたとする事例がネットで広まり、議論を呼んでいました。シャオミはこれらについて複数要因が関与していると説明し、システムは継続的に改善中と強調しましたが、安全性への疑念は払拭されませんでした。

特に3月29日、安徽省銅陵市の高速道路でシャオミSU7が事故を起こし、女子大学生3人が死亡しました。事故当時、車両はNOA(ナビゲーション支援運転)モードで走行中に障害物を検知し警告と減速を行いましたが、運転者が操作を引き継いでからわずか3秒足らずで、時速約97kmのままコンクリート分離帯に衝突しました。報道によれば、亡くなった学生は生前「自動運転のほうが人間より信頼できる」と母親に繰り返し話し、シャオミCEOの雷軍氏の実演を引き合いにしていたということです。

一方、工業情報化部は9月17日に「スマートコネクテッドカー向け統合型運転支援システム安全基準」という強制国家標準の意見募集を開始しました。この新基準は単車線・複数車線・ナビゲーション支援などの機能を網羅し、交差点や工事区間、ラウンドアバウト、トンネルなどの複雑なシナリオを追加しています。さらに、二輪車や臨時障害物、横転車両などへの認識能力についても厳格化しています。特に「工事区間探知・対応試験」は、3月29日の銅陵事故現場をほぼ再現した内容となっています。

業界関係者は、高度運転支援機能の導入競争が激化する中、極端なシナリオのカバー、人とシステムの協調、冗長性確保などの課題が依然として残っていると指摘しています。そして、自動車メーカーは機能開発だけでなく、宣伝方法やユーザー教育においても責任を果たす必要があると呼びかけています。

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