CATL、江西最大級リチウム鉱が操業停止 新法で規制強化、供給不安広がる

8月11日朝、CATL(寧徳時代)が発表した告知が、長らく静かだったリチウム電池市場を一気に揺るがしました。
同社は投資家からの質問に対し、8月9日に江西省宜春市のケンカオ(枧下窩)リチウム鉱区が、採鉱許可証の期限満了に伴い採掘を停止したと、インタラクティブプラットフォーム上で回答しました。

一見すると「手続き上」の停止に見えるこの出来事は、市場に大きな波紋を広げ、情報が伝わった最初の取引日には株式市場が大きく変動しました。この出来事はリチウム鉱関連にとって間違いなく大きな追い風となり、その日のリチウム鉱関連銘柄は軒並みストップ高となりました。

通常、鉱山企業は採鉱権の有効期限が切れた場合、更新することができます。しかし、ケンカオ鉱区では採鉱権が予定通りに更新されず、やむを得ず操業停止となりました。さまざまな状況から、リチウム鉱資源の供給を引き締めるための大規模な整頓が進行していることがうかがえます。

ケンカオ鉱が所在する宜春や、察尔汗(チャルハン)塩湖が所在する青海省は、中国における雲母リチウム採取や塩湖リチウム採取の重要な産地であり、国内リチウム塩産業において大きな地位を占めています。なかでも「アジアのリチウム都」と呼ばれる宜春は、雲母系リチウム抽出法による炭酸リチウムの生産量が、2024年の中国全体25.4万トンの約4分の1(36.8%)を占めています。ケンカオ鉱区は宜春地域で現時点最大規模のリチウム雲母鉱の一つで、年間生産量は約1万トンとされています。

2021年にリチウム価格が高騰した際、宜春の鉱山経営者たちは採掘を急ぐため、「巧妙な」方法を考案しました。採鉱証に記載する主な鉱種を「リチウム鉱」ではなく「含リチウム陶土鉱」と記載したのです。このわずかな言葉の違いで、承認権限が自然資源省という国の行政機関から省行政機関に下がり、生産開始までのスピードが3倍に短縮されました。2022年4月、CATLは8.65億元で宜豊県ケンカオ鉱区の探鉱権を落札し、同年8月9日から採鉱権を取得、2025年8月9日に期限を迎える予定となりました。買収後も同鉱は「陶磁土(含リチウム)」名義を使用してきました。

しかし、中央審計署は6月の報告で、この手法を「陶磁土名義によるリチウム鉱承認回避」と名指しし、期限付きで是正を求めました。CATLの鉱山も、この「問題企業」8社のリストに含まれています。

現在、更新申請は省レベルで滞っており、市レベルでの一次審査はすでに通過しているものの、省レベルでの再審査と自然資源部での登録が保留されています。規定上、採鉱権の更新承認には40営業日を要しますが、CATLが申請書類を提出したのは7月末で、8月9日の期限まで残りわずか10日しかなく、理論的に間に合いません。さらに今回の更新では鉱種の変更も同時に求められ、承認権が自然資源部に戻されたため、この「競争」に新たなハードルが加わった格好です。

こうしたリチウム鉱採掘審査・監督の強化の背景には、中国政府が7月1日から正式施行した新しい「鉱産資源法」があります。新法では、すべての戦略的鉱産資源を国家の規定に基づき保護的に採掘することが明確化されました。自然資源部が保護的採掘の対象となる特定鉱種の採掘登録・承認を担い、地方政府は権限付与を受けた場合にのみ探査・採掘の登録・承認を行うことができます。つまり、規制強化の本質は、過度な競争による市場の疲弊を防ぎ、優勝劣敗のメカニズムを強化し、低効率な生産能力の退出を促すことにあります。

CATLは8月11日の回答で、「関連規定に基づき速やかに採鉱証の更新申請を進め、承認を得次第、できるだけ早く生産を再開する。この件が会社全体の経営に与える影響は大きくない」と述べています。

しかし市場では、もしCATLの鉱山が本当に操業停止となれば、毎月1万トンの炭酸リチウムが減少し、年間では12万トンの不足が生じるとの懸念があります。SMM(上海有色網価格指数)のデータによれば、2025年の国内雲母リチウム総生産能力はわずか30万トンであり、12万トンはその40%に相当します。輸入で補うことは可能かというと、ジンバブエは2027年にリチウム精鉱の輸出禁止を予定しており、リサイクルに頼ろうにも年間5万トンの能力しかなく、とても不足を補えません。したがって、最終的にはCATLの言う通り段階的に生産再開となる公算が大きいものの、今後の政策強化は避けられない見通しです。

 

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