CATL工場火災、テスラ供給に暗雲か?高ニッケルセル生産に支障の懸念

9月29日午前11時ごろ、福建省寧徳市にある寧徳時代新能源科技股份有限公司(以下、CATL)の電池生産拠点で突発的に火災が発生し、大きな注目を集めました。

初期調査によると、火災は同社のZ基地にある独立した建物で発生し、工場の面積は約1.5万平方メートルでした。主に高ニッケルセルを生産しており、これらのセルはテスラなどの新エネルギー車メーカーに供給されていました。

資料によると、Z基地の敷地面積は11万平方メートルを超え、主要な建物の総面積は57万平方メートル、生産能力は38GWh、総投資額は46.24億元に上ります。プロジェクトの建設期間は2019年4月から2022年4月までで、工場やモジュール作業場が含まれています。工場のコードネームはZ2およびZ4で、いずれもZ基地に属しています。

この拠点はCATLの世界的に象徴的なリチウム電池生産施設の一つであり、特に自動化が進んでおり、人工知能や機械学習などの先端技術が導入されています。

CATLの公式発表によると、火災は迅速に鎮火され、死傷者はいなかったとのことです。業界関係者によれば、今回の火災によるCATLの生産能力への影響は限定的で、影響を受けた生産能力は1GWh未満と見込まれ、影響を受けた生産ラインも短期間で復旧する見込みです。

公式発表では影響は小さいとされていますが、実際には今回の火災がCATLにもたらした被害は予想以上に大きいとされています。

メディアが公開した空撮写真によると、火災が発生した場所は完成品セルを保管する倉庫だったと見られます。専門家によれば、セルは生産後、常温で約60日間静置して保管され、その後モジュールやパックの組み立てに使用されるか、直接出荷されます。これは高温を必要とする化成工程とは異なり、静置倉庫には通常冷房設備が整っています。

火災が発生した倉庫は3〜4階建てで、中央の屋根は完全に焼け落ち、端の窓もすすで覆われていましたが、倉庫内部のレイアウトについては明らかにされていません。内部が複数のフロアに分かれているのか、吹き抜け構造なのかは不明です。

消防は高圧水を使って消火活動を行っていたようです。リチウム電池の火災では水では完全には消火できないため、消防の主な目的は温度を下げることでした。泡による酸素遮断も効果がなく、現時点では有効な消火方法が確立されていないと言われています。

情報によれば、CATLの内部管理は非常に厳格で、いたるところに監視カメラが設置されており、喫煙室や火気取り扱い専用の設備も完備されています。倉庫内は人の出入りが少なく、関連する従業員には安全面での厳しい訓練が施されており、従業員の喫煙による火災の可能性は低く、バッテリーセルの自然発火が原因である可能性が高いとされています。

火災後、CATLの時価総額は9月30日に約700億元蒸発しました。株価は取引開始直後に急落し、ストップ安となりました。投資家の信頼は大きく揺らぎ、時価総額の大幅な縮小は市場の注目を集めました。CATLの安全管理システムやリスク管理能力への疑念が広がり、国民や投資家の信頼低下が今回の事件の大きな課題となっています。

2024年上半期、CATLは世界のリチウム電池市場でそれぞれ37.5%と35%のシェアを占め、リーダーシップを維持しています。今回の火災は、今後、川上・川下企業が生産中断リスクに対応するため、サプライチェーンの強化が必要であることを示唆しています。また、新エネルギー業界全体においても、安全管理体制の見直しが求められる契機となりました。

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