DeepSeek接続宣言した20社の自動車メーカー、実際に役立つのか、それともただの流行に便乗しているだけか?
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最近、DeepSeekは中国の自動車業界で注目を集めています。長安、Geely(吉利)、GWM(長城)、東風、GAC(広汽)、BYD、LeapMotor(零跑)を含む約20社の自動車メーカーが、DeepSeekの全シリーズの大規模言語モデルを導入したか、または自社のAIモデルとDeepSeekを深く融合させたことを発表しました。これには、自動運転、スマートキャビン、車載インターネットなど、複数の分野が含まれています。DeepSeekの技術を活用し、自動車のスマート化を進めることを目的としています。その結果、DeepSeekの導入は一時的に「流行」になっています。
一見すると、自動車メーカーの行動力は評価に値しますが、これほど迅速に追随するのは、マーケティング目的で、DeepSeekの人気に便乗しているだけではないかとも考えられます。DeepSeekが本当に自動車企業にとって有用なのでしょうか?
報道によると、DeepSeekはわずか3%のコストで、ChatGPT o1レベルに近いモデルを作り出したとのことです。この低コストで十分な性能を持つAIモデルを調整できるという点が注目されています。
業界の専門家は、DeepSeekがテキストや言語の意味認識、情報検索において強みを持ち、トレーニングコストが低いことを挙げています。現在はオープンソース段階にあり、自動車メーカーがそのインターフェースを利用してプログラムを作成するのは非常に簡便です。
ただし、現時点では、DeepSeekと自動運転との関連はあまり深くなく、短期的にはあまり効果が見込めません。なぜなら、DeepSeekはChatGPTのように主に情報処理向けであり、自動車向けの自動運転機能はまだ開発されていないからです。
しかし、最近急速に注目を集めているDeepSeekには、すぐに多くの投資が流入することが予想されます。そのため、DeepSeekは今後、製造業のサプライチェーンにおけるAI利用を促進するでしょう。ある機関は、2025年第2四半期にはDeepSeekと統合されたシステムやツールが自動車に搭載されることが期待されており、2025年には高速NOA(注)および都市NOAの搭載率向上に寄与するだろうと予測しています。同時に、DeepSeekなどの新しいAIツールを活用することで、後発の自動車メーカーが追い上げる可能性もあります。
自動運転はAIと切り離せない関係にあり、エンドツーエンドでAIを自動運転にスムーズに活用することが可能です。もし多くの自動車メーカーがDeepSeekを導入すれば、中国の自動車市場の構造はどう変わるのでしょうか?
ある専門家は、DeepSeekのMoE(Mixture of Experts、混合専門家)アーキテクチャが、小規模モデルと複数の専門家(Experts)を組み合わせる方式を採用しており、演算力を大幅に節約できるため、自動運転などの明確な目標を持つ分野での活用に適していると指摘しています。また、DeepSeekの蒸留(枝切り)モデルの推論速度は、元のモデルよりも少なくとも数十倍速く、車載ニーズにもより適しているとのことです。このことが、DeepSeekが自動運転分野での構図を変える可能性を生んでいます。
しかし、自動車メーカーは自動運転技術の詳細な研究と計画を立て、DeepSeekが本当に効果を発揮できるようにする必要があります。単に「昨日DeepSeekが発表され、今日弊社が深く融合させた」という宣伝だけでは、深い融合を実現することはありません。マーケティングに便乗することは消費者の注目を集めるかもしれませんが、現時点ではそれは単なる話題作りに過ぎません。
注:NOA(Navigate on Autopilot)とは、先進運転支援システム(ADAS)の一種で、目的地を設定すると自動的に運転する機能であり、中国の自動車メーカーがテスラのFSD(Full Self-Driving)に倣って開発しており、一定の条件下では運転者がペダルから足を離して手放運転することができます。