BYDとファーウェイが提携!新型モデルにファーウェイのスマートドライブシステムを採用へ
BYDは、傘下の「方程豹」ブランドの新型SUV「豹8」の一部モデルに、ファーウェイのスマートドライブシステムを採用する計画だと報じられました。大手2社がスマートドライブ分野で初めて提携することが注目を集めています。
BYD「豹8」は当初、今年の第3四半期に発売される予定でしたが、第4四半期に延期されました。このモデルは、方程豹ブランドとして初めて都市NOA(注)を実現したモデルとなり、販売価格は50万元クラスで、長城の「TNDK 700 Hi4-T」と競合する見込みです。
現在、方程豹は量産モデルとして「豹5」しか持っておらず、2023年11月の発売以来、販売台数は期待を下回っています。今年1月には5203台を販売しましたが、4月には2110台に減少しました。ここ3カ月間、方程豹は公式に販売台数を発表していないものの、販売が低迷していることから、今年7月には全シリーズが5万元値下げされたと予測されています。ブランドイメージの向上と販売台数の増加を目指して、方程豹事業部は四半期ごとに新モデルを投入する計画を立てており、「豹8」は同ブランドのフラッグシップモデルとして、ファーウェイの高級スマートドライブシステム「ADS 3.0」を搭載する予定です。この提携により、BYDはハイエンド市場への進出を加速し、競争力を強化することが期待されています。
現在、中国国内の自動車メーカーは、スマートドライブの分野で以下のソリューションを採用するのが一般的です。
- Mobileye/ファーウェイなどのサプライヤーのアルゴリズムとハードウェアをフルセットで採用(例:ARCFOX、SERES、Geelyの一部ののモデル)
- サプライヤーのアルゴリズム(例:Momenta)+ NVIDIA/Horizon Roboticsなどのサプライヤーのチップによるスマートドライブシステム(例:IM Motor)
- 自社開発のアルゴリズム+ NVIDIA/Horizon Roboticsなどのサプライヤーのチップによるスマートドライブシステム(例:Xpeng、NIO、Li Auto)
- 自社開発のアルゴリズムと自社開発のチップによるスマートドライブシステム(例:テスラ)
BYDは年間販売台数が300万台を超える規模とコスト優位性を持っているため、特定のサプライヤーに依存せず、サプライヤーのフルセットの採用は難しいとされています。最終的には、BYDも自社開発のアルゴリズムとチップを使用する方向に進むと考えられます。
BYDは、自社の半導体開発企業を持ち、4000人以上のスマートドライブ研究開発チームを設立しており、その規模はXpeng、NIO、Li Autoなどの新興メーカーのそれを上回っていますが、実力がまだ十分ではなく、スマートドライブの研究開発において顕著な進展は見られていません。ハードウェアについては、BYDがNVIDIAと提携しており、またBYDはHorizon Roboticsの主要な顧客でもあります。
今回、ファーウェイをスマートドライブのサプライヤーとして導入したのは、BYDのスマートドライブシステムの開発がうまく進んでいない可能性があるためで、ハイエンドモデルの販売目標を早期に達成するために、やむを得ず成熟したサプライヤーのソリューションを一時的に採用して、ブランドの高級イメージを確立しようとしているのかもしれません。
注:NOA(Navigation on Autopilot)は、テスラのFSD(Full Self-Driving:完全自動運転)機能と同様の運転支援システムの一種。