年間販売目標に迫られBYDが値下げ強化 —— 価格競争再燃の懸念から中国自動車株が一斉下落

3月・4月に続き、BYDは5月にも再び大規模な期間限定値下げを実施しました。対象は「王朝シリーズ」と「オーシャンシリーズ」の計22車種のインテリジェントドライブ(智駕)モデルで、最大割引額は5.3万元(約110万円)に上ります。これは、BYDが今年に入って3回目となる「ワンプライス」または補助金付き販売であり、今回のキャンペーンは割引額・対象車種数ともに過去最大規模となっています。
5月23日に発表された告知によると、今回のキャンペーンは6月30日まで継続されます。王朝シリーズの12車種は、補助金適用後の最低価格が6.38万元、割引額は1.3万元から最大3.2万元。一方、オーシャンシリーズの10車種は5.58万元から始まり、割引額は1.4万元〜5.3万元に達します。
しかし、BYDによる今回の大幅値下げが、新たな価格競争の引き金となるのではないかという懸念も広がっています。5月26日には、BYDの香港上場株が8.6%急落し、深セン市場でも5.9%下落しました。加えて、LeapMotorは8.45%、Geelyは9.5%、Li AutoとNIOもそれぞれ3.2%と3.0%下落しています。
一部のアナリストは、この動きが新たな価格競争再燃への懸念を強めたと指摘しています。特に、BYDの値下げ対象と直接競合する中・低価格帯を狙うGeelyやLeapMotorなどのメーカーは、最も影響を受けやすく、株価の下落幅も大きくなっています。
BYDは2025年の年間販売目標を前年比30%増の550万台に設定しています。現時点のデータによると、2024年1〜4月の累計販売台数は約138万台で、前年同期比46.98%の増加ですが、年間目標の4分の1にとどまっています。月別では、3月が37.74万台、4月が38.01万台で、前月比では微増となりました。
しかし、平均月販で見ると34.5万台にすぎず、このペースでいけば年間販売台数は414万台程度にしかならず、550万台の目標達成には大きなギャップがあります。この厳しい目標を前に、BYDは値下げを継続的に強化し、採算性を度外視してでも、競合他社からのシェア奪取を図らざるを得ない状況にあると見られます。