BYDスマート運転ソリューション「天神の眼」発表!10万元以下のモデルにも導入 — 価格競争の激化と政府の圧力をどう乗り越える?

 2月10日、BYDのCEOである王伝福氏は、同社の知能化戦略発表会で「天神の眼」システムを正式に発表し、すべての人が高度なスマート運転を楽しめる未来を目指すと述べました。

 「天神の眼」システムは、3つのバージョンに分かれます。

    • 「天神の眼A」:主に仰望ブランド向け
    • 「天神の眼B」(高機能レーザーバージョン):主にDENZA(騰勢)およびBYDブランド向け
    • 「天神の眼C」(高機能インテリジェント三眼バージョン):主にBYDブランド向け

 発表会では、特に「天神の眼C」について詳しく紹介されました。このシステムは、世界初の「フロントビュー三眼」構成を採用し、以下の技術を搭載しています。

    • 12V(フロントビュー三眼カメラ3台、周囲監視カメラ5台、サラウンドビューカメラ4台)
    • 5R(ミリ波レーダー5台)
    • 12U(超音波レーダー12台)

 また、BYDは「璇璣(センキ)アーキテクチャ」がDeepseek-R1大規模AIモデルと連携し、車載AIおよびクラウドAIの能力が向上することを発表しました。車内では、BYDの車両がR1大規模AIモデルの推論能力を活用し、ユーザーの曖昧な指示や潜在的なニーズをより正確に理解することが可能になるとされています。

 さらに、BYDは「天神の眼」搭載モデルの価格を発表し、王朝シリーズおよびオーシャンシリーズの合計21モデルに適用されることを明らかにしました。

    • 王朝シリーズ:秦Plus DM-i(第2世代)、秦Plus EV など(7.98万元~24.98万元)
    • オーシャンシリーズ:シール(海鸥)、ドルフィン(海豚) など(6.98万元~23.98万元)

 現在、スマート運転技術は中~高級モデルで徐々に普及していますが、10万元以下のエントリーモデルでは、どのメーカーも本格導入していません。その理由は、主にコストの問題です。しかし今回、BYDは業界で初めて10万元以下のA0クラス小型車にスマート運転を導入し、中国の自動車市場に衝撃を与えたと考えられています。

 過去2年間、BYDは市場シェアを拡大するために価格競争を展開してきました。しかし、関係者によると、最近中国政府の管理部門から「窓口指導」を受け、BYDがさらなる価格競争を仕掛ければ、政府からの圧力や世論の反発を招く可能性があるとされています。そのため、2025年初頭からBYDは戦略を「価格競争」から「価値競争」へ転換。主力モデルにスマート運転システムを大規模に普及させながら、価格を据え置くという方針を打ち出しました。

 業界関係者の間では、BYDのこの戦略転換に驚きの声が上がっています。一般的に、スマート運転技術は「贅沢なオプション」と見なされがちですが、BYDはそれを「エントリーモデルの標準装備」として提供しようとしています。

 もちろん、BYDの自社開発したインテリジェント運転技術がどれほど実用的かは現時点では不明です。しかし、仮に20万元以上の高級モデルと同等の性能を持つのであれば、それはまさに業界を揺るがす「Deepseekショック」となるでしょう。

 BYDは、自動車業界のPinduoduo(海外ではTEMUとして展開されている中国の低価格ECプラットフォーム)となるのかもしれません。

391

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。