東風日産・武漢工場に閉鎖の噂 公式は否定し、新エネルギー転換を加速

最近、複数の日本メディアが、日産自動車が2025年度(2026年3月まで)に中国・武漢にある工場での生産活動を終了する計画だと報じ、大きな注目を集めました。これに対し、東風汽車有限公司(東風有限)は4月29日に正式にコメントを発表し、「武漢工場は現在正常に稼働しており、今後も閉鎖の予定はない」と否定しました。

「雲峰工場」とも呼ばれるこの武漢の工場は、2019年に建設が始まり、2022年に正式稼働しました。日産にとって中国市場での重要な戦略拠点の一つであり、ガソリン車、ハイブリッド車、純電動車など複数のパワートレインに対応した柔軟な混流生産能力を持ち、年間生産能力は30万台に達します。工場はデジタル化・インテリジェント化された製造体制を採用しており、プレス、溶接、塗装、樹脂、最終組立、バッテリーPACKなど、7つの主要工程を備え、完成車の一貫生産体制を整えています。主な生産車種には、エクストレイル、エクストレイルe-POWER、電気自動車のARIYAなどがあります。

しかしながら、生産能力の活用という観点では厳しい状況に直面しています。公開されたデータによると、2022〜2023年度の年間生産台数は約1万台にとどまり、稼働率は10%未満でした。2024年からは、東風グループ傘下の高級EVブランド「嵐図(VOYAH)」の受託生産も開始し、ファーウェイと共同開発した純電動車「嵐図知音(VOYHA ZHIYIN)」などの生産を通じて、ライン稼働率の向上を図っています。

今回の閉鎖報道の背景には、日産の中国事業の不振と業界環境の急激な変化があります。2025年第1四半期、日産の中国市場での販売台数は前年同期比27.5%減の121,335台となり、年間販売台数も前年比18.6%減の約65万台、生産台数は17.7%減になると予測されています。従来型の外資系合弁ブランドの市場競争力は低下しており、「快適・低燃費」で知られる日産の特徴も、新興EVやスマートカーの勢力に押されつつあります。

この流れを受け、日産は中国市場における新エネルギー戦略の加速を決断しました。最新の計画によれば、2027年夏までに純電動とプラグインハイブリッドを含む10車種の新エネルギーモデルを投入するほか、2026年までに東風日産ブランドで7車種の新製品を市場に投入する予定です。この戦略を支えるために、東風日産は今後3年間で100億元超を新エネルギー技術の研究開発に投資し、研究開発者も現在の1,600人から4,000人に拡大する方針です。

この一連の騒動は、外資系合弁自動車メーカーが中国市場で直面している共通の困難を映し出しています。地場ブランドの急成長と新エネルギー技術の急速な進化を背景に、外資系ブランドは過剰な生産能力と製品競争力の低下という課題に直面しています。北京現代の順義工場売却、神龍汽車の第2工場譲渡、広汽フィアット・クライスラーの市場撤退といった事例が続く中、「閉鎖・再編」が合弁企業の新たな常態となりつつあります。

東風日産は武漢工場の閉鎖を否定していますが、激しい市場競争と構造改革の中で、外資系ブランド各社は生き残りと再興を目指して、新エネルギーとスマート化への転換を急いでいます。

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