NETAに補助金返還圧力 タイ、中国製EVへの信頼揺らぐ

中国の新興EVメーカーであるNeta(哪吒汽車)が、タイにおける現地生産目標の未達により、最大で20億バーツ(約4.4億元)の政府補助金を返還するリスクに直面していると、最近複数のメディアが報じました。
Netaは2023年より、タイ政府による電気自動車(EV)普及を目的とした「EV3.0補助金制度」に参加しており、現地生産を前提に、車両1台あたり最大15万バーツの補助金や関税優遇措置を受けてきました。
補助金の受給条件としては、「輸入車1台につき、タイ国内で1.5台の現地生産が必要」とされており、2025年末までにこの目標を達成することが求められています。Netaの2025年の現地生産目標は19,000台ですが、これまでに生産されたのは約4,000台にとどまっており、達成率は約21%にとどまっています。
この生産未達により、すでに受け取っていた20億バーツ超の補助金の返還に加え、今後予定されていた約4億バーツ分の補助金の支給停止が検討されていると報じられています。
ただし、タイ財務省のPaopoom Rojanasakul副大臣は、「現在の制度では、メーカーは2025年12月末までに補償生産を完了すればよく、目標未達を理由に即時補助金を停止することはありません」と説明しています。
注目すべきは、Paopoom Rojanasakul副大臣が、Netaの経営状況を踏まえ、タイ財務省が国家電動車政策委員会に対して補助制度の見直しを要請したことを認めた点です。副大臣は、今後EVメーカーに対し、2カ月ごとに「補償生産計画」の提出を義務付け、未達があった場合には補助金の支給停止が可能となるよう、制度改正を進める方針を示しました。同時に、制度見直しは将来の同様の事例に対応するためのものであり、すでに補助金の適用を受けた車両を購入した消費者には影響がないことを強調しました。
Netaのタイ法人「Neta Auto Thailand」は、現在破産審査を受けている中国の親会社であるHozon Auto(合衆新能源汽車)とは独立した法人格を有しています。しかし、親会社の経営難やキャッシュフローの悪化は事実であり、タイ現地法人も近年は値引き販売などで対応してきました。現地メディア「The Nation Thailand」によれば、タイ歳入局はすでにNetaの補助条件の履行状況を監視しており、今後の動向次第では補助金制度からの除外も視野に入っているとのことです。
これはつまり、Netaの親会社であるHozon Autoの経営破たんが、中国のEVメーカー全体に対するタイでの信頼や、補助金制度そのものにまで悪影響を及ぼしていることを意味します。