日産、東風汽車と合弁で輸出会社設立へ──販売不振打開へ、海外市場に活路

 6月25日、日産(中国)投資有限公司(NCIC)と東風汽車は、合弁契約を締結し、自動車輸出業務を共同で手がける新たな合弁会社を設立することで合意しました。

 契約によると、合弁会社の登録資本金は10億元(約200億円)で、東風汽車が4億元、NCICが6億元を出資し、それぞれ40%と60%の株式を保有します。合弁期間は28年間と定められています。

 この「輸出に特化した合弁会社」の背景には、日産と東風汽車それぞれが抱える販売不振のプレッシャーがあります。2025年1〜5月の東風汽車の累計販売台数は67万2800台で、前年同期比17.1%減。日産も同年1〜4月の世界販売台数が109万5500台となり、5.9%の減少。そのうち中国での販売は16万7600台で、前年同期比24.6%減と大きく落ち込みました。中国市場は日産にとって、単一市場として最も販売が減少した地域です。

 日産は現在、業績赤字という厳しい局面にあり、中国市場でも度重なる失敗に直面しています。東風も自主ブランドの販売拡大に注力していますが、合弁ブランドがいまだに総販売台数の5割以上を占めており、その比重は依然として大きいのが現状です。両社は重要なパートナー関係にある中で、中国市場での競争力をいかに高めていくかが問われています。

 「海外進出」は、日産と東風汽車が共に選んだ「挽回策」とも言える戦略です。日産は中国を電気自動車の生産・輸出の重要拠点と位置付け、東風汽車も複数の決算説明や戦略会議で「輸出拡大の加速」を繰り返し打ち出しています。両社はすでに、N7やFrontier Proといった新型車を国際市場に同時展開し、日産のグローバル販売ネットワークと連携する方針を明らかにしています。

 今回の合弁会社設立は、電動化・販売・収益の「三重苦」に直面する中での、両社による深い戦略的連携です。日産にとっては、グローバルでの「選択と集中」戦略に基づき、東風汽車の製造・供給ネットワークを活かした新たな取り組みとなります。一方、東風汽車にとっては、合弁ブランドの販売不振を緩和し、余剰生産能力を活用するための現実的な一手と言えるでしょう。

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