VW、中国Horizon Roboticsとの協業を加速 次世代ADASを2026年から搭載

4月7日、フォルクスワーゲン・グループ(以下、VW)とHorizon Robotics(地平線)は、高度運転支援分野において、Horizon Roboticsの全シナリオ対応型スマートドライビングソリューション「HSD(Horizon SuperDrive™)」を基盤としたさらなる協業を発表しました。

この協業により、HSDはVWが掲げる「中国のために、中国で」という戦略のもと、スマートドライビング技術開発における重要な技術的支柱となります。VW傘下のソフトウェア企業CARIADがHorizon Roboticsと共同で設立した合弁会社「酷睿程(CARIZON)」を通じて、より高度で安全なスマート運転機能の自社開発・最適化を推進します。2026年以降、この新たな高度運転支援ソリューションは、VWの新型車種に順次搭載される予定です。

VWとHorizon Roboticsは2022年に正式に提携を開始し、2023年11月には合弁会社「酷睿程(CARIZON)」の設立を発表しました。現在、同社には500名以上のスマートドライビング技術者が在籍し、高性能なフルスタックソリューションの開発に注力しています。現在、「酷睿程」はHorizon Roboticsのチップ「Journey 6(征程6)」をベースとしたL2+レベルのスマート運転ソリューションの大規模な公道テストを実施しており、2026年にはCEAアーキテクチャ(注)を採用した新型コンパクトEVに搭載される予定です。

CARIADグローバルCEOのディルク・ヒルゲンベルク(Dirk Hilgenberg)氏は、2022年11月のインタビューで「Horizon Roboticsは、中国市場において自動運転ソリューションを提供する強力な研究開発チームを擁しており、ハードウェア・ソフトウェアの両面で大きな成果を挙げている。今回の協業によって、両社の強みを最大限に発揮し、フルスタック型のソリューションを構築したい」と語っています。目指すのは、垂直統合されたソフトウェアプラットフォームを構築し、VWグループ傘下のブランドやスケールメリットを活かして連携を強化することです。

CARIAD中国法人CEOの常青(チャン・チン)氏も、「VWが重視したのはHorizon Roboticsの技術力だけではなく、企業文化、組織構造、内部プロセスといった点も非常に評価された」と述べています。Horizon Roboticsの創業者である余凱(ユー・カイ)氏は、ドイツで6年間学び働いた経験があり、ドイツ文化に対する深い理解を有しています。そのため、協業交渉では両者の考え方や進め方に高い親和性があり、コミュニケーションも円滑で、業務効率の大幅な向上につながったといいます。

スマートEV分野では、従来の自動車メーカーの多くが、サプライヤーとの連携による協業モデルを採用しており、OEM(完成車メーカー)が要求仕様を提示し、それに適したパートナー企業を選定する「サプライヤー–顧客」型の関係が一般的でした。これは、自動車業界における伝統的なビジネスモデルでもあります。

しかし、VWのCARIADとHorizon Roboticsの協業は異なり、出資による合弁会社を通じて、それぞれの強みを融合し、新しい市場に向けた次世代の価値を共創する取り組みです。合弁会社においては、VWのソフトウェア企業であるCARIADが60%の株式を保有しています。

常青氏は2年前、「現在、CARIAD中国チームは『中国スピード』で製品開発を進めており、来年以降にはHorizon Roboticsの新製品を含む数多くの製品が市場に登場する見込みだ」と語っていましたが、今回のVWによるさらなる協業の発表は、その発言を裏付けるかたちとなりました。

注:VW CEAアーキテクチャ(China Electrical Architecture)は、VWが中国のXpengと共同開発した電気/電子(E/E)アーキテクチャです。

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