虚偽広告疑惑と事故報道で揺れるシャオミ ブランド史上最大の逆風に直面

シャオミは現在、創業以来かつてない世論の危機に直面しています。

3月29日に発生したシャオミSU7の高速道路事故が注目を集めたのに続き、ハイエンドモデル「SU7 Ultra」の「カーボンファイバー製デュアルエアダクト付きボンネット」が虚偽広告の疑いで物議を醸し、ユーザーによる抗議活動が起きています。多くのオーナーが不満を抱き、「無損傷での返品」を求める動きが広がっています。同時に、シャオミの販売台数は3週連続で前週比マイナスとなり、創業者の雷軍氏は異例の発言として「これはシャオミを創業して以来、最も困難な一ヶ月だった」と語りました。

数百人のオーナーが抗議、「虚偽広告」と指摘

今回の騒動の焦点となっているのは、SU7 Ultraに搭載されている価格4.2万元のカーボンファイバー製デュアルエアダクト付きボンネットです。このパーツは発表会で「コンセプトカーの完全再現」として紹介され、空気の流れを整え、ホイールの冷却をサポートする機能を備えると説明されていました。雷軍氏もライブ配信やWeibo(微博)で、外観だけでなく内部構造もアップグレードしたと何度も強調していました。

カーボンファイバー製デュアルエアダクト付きボンネット(左)とノーマルボンネット(右)

写真:シャオミ

しかし、4月下旬に納車された一部のユーザーが内部構造を確認したところ、実際には通常版とほぼ同じで、装飾的な構造にすぎず、宣伝で説明されていた機能は備えていないことが判明しました。この発見により疑念が広がり、すでに300人以上が参加する抗議グループが作られ、シャオミに対して「損傷なしでの返品」を求めています。

複数の購入者は、このパーツに関する公式の説明を信じて高額なオプションを選んだと語っており、後に提示された補償案(通常のアルミ製ボンネットへの交換、または約2,000元相当のポイント付与)では、4.2万元との価格差を埋めることができず、再注文や納車遅延のリスクもあることから、不満の声が強まっています。

販売は3週連続で減少、SU7 Ultraは週400台にとどまる

製品に対する信頼性の問題に加えて、シャオミの販売実績も下がり続けています。中国汽車流通協会の保険登録データによると、第16週(4月中旬)に7200台のピークを記録した後、SU7シリーズの週販売台数は3週連続で減少し、それぞれ7000台、5700万台、5200万台となりました。特にSU7 Ultraは、直近1週間の販売台数がわずか400台余りにとどまっています。

業界アナリストによると、SU7 Ultraの販売不振は、出力制限、誇張広告問題、中古車の価値低下、リース契約や転売業者による注文の減少、そしてネット上での大量キャンセルなど、複数の要因が重なっていると指摘されています。

注目すべき点として、シャオミは4月に新車納車台数が28000台を超えたと発表していますが、前月比では3.4%の減少となっており、他の新興EVメーカーが軒並み成長を報告している中、対照的な動きとなっています。

ネガティブ報道が続く中、雷軍氏が異例の発言

否定的な報道が続く中、5月10日、雷軍氏はWeiboに「この1か月以上は、シャオミを創業して以来最も厳しい時期だった」と投稿しました。

実際のところ、シャオミが批判を受けるのはこれが初めてではありません。3月29日、NOA(ナビゲーション付き運転支援)作動中に死亡事故が発生した後、「自動運転」という表現を「運転支援」へと修正する対応に迫られました。その後も、「工数問題」や「注文確定ルールを巡るトラブル」(注)が相次ぎ、企業の透明性や誠実さに対する疑念が一層深まる結果となりました。

4月16日には工業情報化省が会議を開き、自動車メーカーに対して誇大広告や虚偽表示の禁止、機能の限界の明示、情報提供義務の履行を求める方針を明確に示しました。シャオミも広報内容の見直しを進めていますが、消費者の信頼を回復するには至っていません。

まとめ

「若者向け」や「テクノロジー感」で注目を集めてきたシャオミは、今、ブランド信頼の連鎖的な危機に直面しています。広告と実際の製品とのギャップ、販売不振、ユーザーからの抗議といった問題が次々に表面化し、「話題性の恩恵」は「話題性による逆風」へと変わりつつあります。今後、シャオミが損失を抑え、ユーザーの信頼を再構築できるかどうかが、新興EV市場での生き残りを左右することになりそうです。

注:2024年4月24日、シャオミ社が社員に対して「1日の平均労働時間を11.5時間以上にするよう要求している」として話題になりました。メディアの調査によると、7割以上の回答者が「実際の労働時間は12時間を超えている」と答えています。しかし、中国の労働法では、週あたりの平均労働時間は44時間を超えてはならないと定められています。

また、シャオミの新車予約ルールにも不満の声が上がっています。ユーザーは予約時に車両の仕様を確定することができますが、いったん確定すると注文も確定し、手付金は返金されません。この仕様により多くのユーザーが誤って操作し、大量のクレームや不満が発生しています。

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