Zeekr、米国IPOから1年足らずで上場廃止へ:Geely完全子会社化の真意と戦略転換

Geely(吉利汽車)は5月7日、傘下の新エネルギー車ブランド「Zeekr(極氪)」の発行済み全株式を取得し、完全子会社化する計画を発表しました。現在、GeelyはZeekrの約65.7%の株式を保有しており、取引が完了すれば両社は完全に統合され、Zeekrは非上場化されてニューヨーク証券取引所から上場廃止となります。
今回のZeekrによる非上場化および米国市場からの撤退は、米中間の関税摩擦が続く中で注目を集める「中概股(海外上場中国企業)の回帰」ブームの中で、最初の具体的な動きとなります。同日午前、中国証券監督管理委員会の呉清主席は国務院新聞弁公室の記者会見において、「優良な中概企業の中国本土および香港市場への回帰を支援する環境づくりを進めていく」と表明しました。
公開情報によれば、Zeekrは2024年5月にニューヨーク証券取引所へ上場しており、現時点で正式上場からまだ1年に満たない状況です。
Zeekrが米国でのIPOからわずか1年足らずで非上場化を目指す背景には、Geely全体の戦略的な計画があると見られています。今回の決定について、Geely会長の李書福氏は次のように述べています。「激化する市場競争と日々複雑化する経済環境の中で、私たちは情勢を見極め、『台州宣言』の精神に基づき、自動車事業の統合を継続的に推進します。『One Geely』への回帰を図り、技術的優位性を結集し、イノベーション能力と収益力を高め、長期的な企業価値の創出を目指します。同時に、米国および国際資本市場との緊密なコミュニケーションと協力体制も、今後も維持してまいります。」
Geelyは昨年9月、「台州宣言」を発表し、「戦略の集中」「戦略的統合」「戦略的協調」「戦略的安定性」「戦略的人材」という5つの中核施策を掲げ、本格的な戦略転換の新段階に入りました。それに伴い、傘下のGalaxy(ギャラクシー)、Zeekr、Lynk & Co(領克)などのブランドは調整期に入りました。同年10月には、Geome(幾何)ブランドが正式にGalaxyへ統合され、同ブランドのスマートコンパクトカーシリーズとなりました。今年3月には、Levc(翼真)ブランドもGalaxyに統合され、同ブランドの高級電動MPVシリーズに再編されました。そしてGalaxyは「Geely Galaxy(吉利銀河)」ブランドとして正式に格上げされました。ブランド統合によるシナジー効果もあり、Galaxyの販売台数は着実に増加しています。データによると、昨年のGalaxyの年間販売台数は49万台を超え、前年比で80%の成長を記録しました。
今年2月には、ZeekrとLynk & Coが「電撃的な」統合を完了し、「Zeekr Group(極氪科技集団)」が設立されました。関係筋によると、両社の統合により、研究開発コストは10〜20%削減され、R&D比率は11%から6%に低下する見込みです。また、大規模な製造体系のもと、BOM(部品構成表)コストは5〜8%、生産コストは3〜5%の削減が見込まれています。さらに、管理費も10〜20%削減される予定で、販売管理費比率は11%から8%に低下し、組織運営の効率が一層高まるとされています。
注目すべき点として、Zeekr Groupは2025年の年間販売目標を79万台と設定しており、そのうちLynk & Coが39万台、Zeekrが32万台を担う計画です。しかし、今年最初の4か月間でのZeekrの販売実績は、年間目標のわずか17.2%にとどまっています。