8月乗用車市場:NEV比率55%に上昇、BYDは主力車種の販売急減で減速鮮明──Geelyが躍進

全国乗用車市場情報連席会や関連機関の発表によると、8月の中国乗用車市場は引き続き拡大基調を示しました。小売販売台数は199万5,000台に達し、前年同月比で4.6%増、前月比で8.2%増となり、単月として過去最高を更新しました。なかでも新エネルギー車(NEV)の小売販売は110万台に上り、前年同月比7.5%増、前月比11.6%増を記録しました。市場全体に占める比率は55.2%に達し、成長を牽引する中心的存在となっています。

こうした市場の活況の一方で、BYDの動向には陰りが見えます。8月の販売台数は371,501台と依然として首位を維持したものの、前年同月比ではわずか0.2%増にとどまり、実質的に横ばいとなりました。しかも前年同月比の減少が2カ月連続で続いています。特に主力となる9車種はいずれも販売が大幅に落ち込みました。秦PLUS、秦L、シール06、シーガル、宋PLUS、宋PRO、元PLUS、ドルフィン、ドリスデストロイヤー05といったモデルはいずれも不振で、なかでもシーガル、宋PLUS、元PLUS、ドリスデストロイヤー05は前年比で5割以上の急減となり、ランキング上位から脱落する車種も出ました。新型SUV「シーライオン06」は発売初月で2万5,000台超を記録しトップ10入りしたものの、全体の下降基調を覆すまでには至りませんでした。

年間販売の進捗を見ると、1〜8月のBYDの新エネルギー車累計販売台数は282.6万台となり、前年同期比22%増を記録しました。ただし依然として前年を上回ってはいるものの、過去数年の急速な拡大ペースには明らかに及ばなくなっています。さらに注目すべきは、8月末時点で2025年当初に設定した販売目標550万台のわずか51.5%しか達成できていない点で、年間販売目標達成に黄信号が灯りました。

最近、BYDはついに通年の販売目標を調整し、従来の目標を16%引き下げ、年間販売目標を460万台としました。この下方修正の背景には、BYDが現在直面している市場環境の厳しさが映し出されています。短期的な販売成長率の鈍化にとどまらず、新エネルギー車市場で急速に台頭して以来、過去5年間で最も低い年間成長率に直面しつつあることを意味しています。

BYDの減速に対し、Geely(吉利)は大幅な伸びを示しました。8月のNEV販売台数は14万7,300台と前年同月比で95%増となりました。なかでもGalaxy(銀河)ブランドは初めて月間販売10万台を突破し、ブランド別ランキングで4位に浮上するなど、今月最大の注目株となりました。星願、銀河A7、パンダ、星耀8、銀河E5など複数の車種が1万台超を販売し、多面的に成果を上げたことが強みとなっています。さらにシャオミやXpengも前年同月比で販売を倍増させるなど、各ブランドが市場シェア拡大に向けて競争を強めています。

総じてみると、8月の中国自動車市場は二極化が一段と鮮明になりました。一方ではNEV全体が依然として成長を続け、Galaxyやシャオミ、Xpengといった新興メーカーや地場ブランドが急速に台頭しています。他方で、BYDのようなトップメーカーは成長の壁に直面しています。背景には大きく三つの要因があります。第一に、BYDの主力プラットフォームと製品ラインが消費者に飽和感を与え、新鮮味を欠いていること。第二に、競合各社が知能化技術、ハイブリッド効率、価格戦略などで急速に追い上げ、Geely、長安、シャオミなどが部分的には既に優位に立ちつつあること。第三に、高級ブランド戦略が難航し、DENZA(騰勢)や仰望といった高級ブランドが市場で十分な存在感を確立できていないことが挙げられます。

秋の繁忙期とされる「金九銀十(金の9月と銀の10月)」に向け、各メーカーは新車投入や販促策を加速させています。BYDが戦略や製品革新で巻き返せるのか、またGeelyが勢いを持続できるのかが、下半期の中国自動車市場の最大の焦点となりそうです。

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