中国自動車産業の収益二極化 BYD独走も、16社合計純利益はトヨタの半分以下

9月に入り、中国の主要自動車メーカーの2025年上半期決算が出揃い、中国自動車産業の収益構造と転換のトレンドが徐々に明らかになってきました。全体的に見ると、電動化・知能化の推進によって業界は成長基調を維持しているものの、利益は高度に集中しており、完成車メーカーと動力電池メーカーの収益力には大きな差が存在しています。
経済誌「第一財経」のまとめによりますと、A株と香港市場に上場している乗用車メーカー16社(決算未発表のNIOを除く)の上半期累計の親会社帰属純利益は392億元を超えました。そのうち、BYD、Geely(吉利)、GWM(長城)の民間大手3社の合計純利益は311億元に達し、全体の約8割を占めています。特にBYDは155億元で業界トップを維持し、全体利益の4割以上を一社で稼ぎ出しました。
しかし、最も利益を上げているこの3社を合わせても、動力電池最大手であるCATL(寧徳時代)の1社(304.9億元)とほぼ同水準にとどまります。さらに、世界で最も利益を上げているトヨタ自動車と比べると、その差は一層鮮明です。トヨタの今年上半期の純利益は約727億元に達し、中国16社合計の1.9倍に相当します。
一方で、業界には依然として赤字企業も目立っています。GAC(広汽集団)、BAIC BluePark(北汽藍谷)、Xpeng(小鵬)、JAC(江淮)、Zotye(衆泰)、Haima(海馬)の6社が合計で約70億元の損失を計上しました。また、Changan(長安)、SAIC(上汽)、GAC、GWM、BAIC、JAC、Geelyなど大手7社の純利益が前年同期比で減少しており、中でもJACとGACはそれぞれ357%、267%という大幅な落ち込みを示しました。
中国自動車工業協会(CAAM)のデータによりますと、上半期の新エネルギー車(NEV)の生産・販売台数はそれぞれ696.8万台と693.7万台に達し、前年同期比でそれぞれ41.4%、40.3%増加しました。小売市場での浸透率も4か月連続で50%を突破しました。輸出も好調で、上半期のNEV輸出台数は106万台と、前年同期比で75.2%の大幅増を記録しています。
とはいえ、業界の利益率は低下傾向にあります。全国乗用車市場情報連席会によりますと、2025年7月の自動車業界の利益率は3.5%にとどまり、直近の最低水準を更新しました。今年1~7月の累計利益は2737億元で、前年同期比ではわずか0.9%の増加にとどまりました。
総じて言えるのは、中国自動車産業は販売規模や新エネルギー車の普及率において、すでに世界トップクラスの地位を確立しており、BYDやGeelyといった中国ブランドも世界の自動車メーカー上位10社に名を連ねるようになったということです。
しかし、業界全体の利益は一部のメーカーに偏在しており、動力電池大手のCATLは多くの完成車メーカーの利益を合計した額すら上回っています。今後も過当競争の継続や新車投入の加速によって、先行する大手メーカーはさらに優位を広げる一方、激化する競争についていけないメーカーは市場から淘汰される可能性が高いと考えられます。