2026年施行、「ゼロキロ中古車」輸出規制強化 180日以内登録車は確認書提出必須

11月14日、中国商務部・工業情報化部・公安部・税関総署は共同で「中古車輸出管理を一層強化するための通知」を発表し、2026年1月1日より、登録日から180日未満(含む)の輸出車両について、メーカーが発行する「アフターサービス確認書」の提出を義務付けると明確にしました。提出できない場合は、輸出許可証は発給されません。
今回の措置は、近年急増している「ゼロキロ中古車」問題に直接対応するものです。
「ゼロキロ中古車」とは
「ゼロキロ中古車」とは、名義上は中古車であるものの、実際には登録だけが行われ、ほとんど使用されていない、走行距離も極めて少ない車両を指します。中国自動車流通協会のデータによれば、2024年の中古車市場では、「登録3カ月以内・走行50km以下」の車両が12.7%を占め、8台に1台が「準新車」という状況です。
業界関係者は、一部企業が新車を登録した後、中古車名義で輸出することで、輸出入規制や税金を回避し、補助金を不正取得していると指摘しています。車両は実質的に新車であるにもかかわらずメーカー保証が受けられず、所有権や債務リスクを伴う可能性もあり、ブランドイメージを損なう要因ともなっています。
新規制の主な内容:180日以内登録車両は「アフターサービス確認書」を必須提出
1. 新車を中古車名義で輸出する行為の厳格管理
登録日から180日未満(含む)の輸出車両は、メーカーが発行した「アフターサービス確認書」の追加提出が必要で、内容には輸出国、車両情報、海外のアフターサービス網などが含まれ、メーカー捺印が求められます。提出できない場合は、輸出許可証は発給されません。
通知施行前にすでに「輸出待ち転売登録」を済ませている車両については、企業が契約に基づき秩序立って輸出するよう指導されます。
2. 輸出許可証の申請・発給の規範化
申請情報(ブランド、型式、登録日、輸出待ち転売登録日など)は「自動車登録証」と完全に一致していなければなりません。不備がある場合は許可証は発給されません。商務部は申請状況をモニタリングし、違反が繰り返される企業や発給機関を通報します。
3. 企業の動的管理および許可取り消しメカニズムの確立
「中古車輸出不誠実行為ネガティブリスト」に基づき日常監督を強化し、度重なる不誠実行為、整備技術や部品供給を提供できない、保証義務を履行しない企業に対しては、面談・是正を実施し、許可審査時に是正状況を総合評価します。
4. 「改造車」輸出の厳格審査
シャーシメーカー名、改造業者名、車種等を正確に記入し、改造の真正性を証明する資料を提出する必要があります。真正性を証明できない場合、工信部公告に未掲載、または強制認証のない車両は、許可証を発給されません。
政策の影響:中古車輸出を「価値成長型」へ誘導
2025年の中国中古車輸出量は引き続き急成長しており、1〜8月で40万台を突破、そのうち新能源車の割合は初めて30%を超えました。年間では50〜60万台に達する見込みで、2019年中古車輸出開始時(0.3万台未満)から145倍以上の増加となります。
しかし急成長の裏では問題も徐々に顕在化しています。全国工商連自動車販売商会によると、「近年、中古車輸出の増加に伴い、不誠実経営や義務不履行の行為も増えており、信頼危機を招いています」。
GWM(長城汽車)の魏建軍会長は今年5月、「いわゆる『ゼロキロ中古車』を扱っている業者が三千〜四千社ある」と指摘しました。
中古車輸出の混乱は中国政府の注目を集めています。9月26日、商務部は「中華人民共和国対外貿易法」に基づき、商務部・工業・情報化部・税関総署・市場監督総局が純電動乗用車の輸出に輸出許可証管理を適用すると発表しました。施行日は2026年1月1日です。
中国自動車流通協会は、今回四部門が共同で発表した通知について、「単なる『規制的管理』にとどまらず、業界の健全な発展を促進するための体系的な施策であり、中古車輸出を『量の拡大』から『価値の成長』へと転換させることに資するとともに、中国自動車の輸出により秩序ある、信頼できる国際環境を構築する助けとなる」と述べています。