超高級車への消費税課税基準が90万元に引き下げ──輸入車直撃、地場高級モデルにも影響か

7月17日、中国財政省と国家税務総局は共同で公告を発表し、2025年7月20日から、超高級小型乗用車に対する消費税の課税開始価格を、これまでの130万元から90万元に引き下げることを明らかにしました。この政策調整では、純電動車や燃料電池車を含む、あらゆるパワートレインの乗用車および中・小型の商用バスが課税対象となります。一方で、中古車は課税対象外と明確に定められております。

これにより、これまで消費税10%が課されるのは、販売価格が146.9万元(車両本体価格130万元+13%の増値税)を超える場合に限られておりましたが、今後は101.7万元(車両本体価格90万元+13%の増値税)を超えると課税対象となります。

中国自動車流通協会(CADA)の統計によりますと、2025年上半期に税込価格101.7万元以上の超高級車の販売台数は3.7万台で、前年同期比で49%の大幅な減少となっております。そのうち、ガソリン車が3.3万台と約9割を占めており、今回の政策調整が主に伝統的な高級ガソリン車市場を直撃することがうかがえます。

ブランド別のシェアを見ますと、メルセデス・ベンツが1.6万台で全体の48%を占めて首位となっており、続いてランドローバーが8500台(23%)、ポルシェが6800台、レクサスが3000台、ベントレーが1100台となっております。

ただし、影響は輸入車だけにとどまりません。近年では、中国国内の地場ブランドも100万元クラスの高価格帯モデルを相次いで投入しており、BYDの「仰望U8」、東風汽車の「東風猛士917」、ファーウェイとJACが共同開発した「尊界S800」、一汽の「紅旗金葵花・国雅」などがその代表例となっております。このうち「仰望U8」と「金葵花・国雅」は、車両本体価格が100万元を超えているため、今後は課税対象に含まれる見通しです。一方、「尊界S800」は本体価格が90万元未満であるため、課税を免れる可能性がございますが、高価格帯市場を狙う地場ブランド全体にとっては、少なからぬ影響が及ぶと見られております。

中国における消費税は、たばこ、酒類、化粧品、宝飾品、爆竹、成品油、自動車など、高価格・高付加価値の商品に対して課されております。すでに2016年12月1日からは、小型の超高級車に対して小売段階で10%の消費税が追加で課されております。

今回の消費税の見直しは、超高級車の購入ハードルを引き上げることで、消費の方向性を誘導し、より環境に配慮した消費行動を促すことを目的とした措置と位置づけられております。

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