サイバー水軍、中国の新エネ車マーケティングの裏側を明らかに
新エネ車マーケティングの裏側
近年、自動車メーカー間の激しい競争やSNSの発達により、自動車業界での「サイバー水軍」(注)が増加している現象が見られます。新車が発表されたり発売されたりすると、インターネット上のサイバー水軍が大量に登場し、極端な評判や批判を拡散することで世論の雰囲気を歪めています。消費者が企業の製品に苦情を申し立てたり、メディアが企業に対して公正な報道を行ったりすると、サイバー水軍による罵詈雑言や誹謗中傷が引き起こされることがあります。
一般の消費者は真実を見極めることが難しく、サイバー水軍によって操作された世論の罠にかかることもあります。特に新エネ車市場では、サーバー水軍が長らく氾濫している状況ですが、その組織と運営についてはどのような仕組みで行われているのでしょうか。
サイバー水軍は傭兵
インターネット上のサイバー水軍は、戦場の傭兵のようにお金のために雇われる存在です。高い報酬が見込まれる場所には、多くのサイバー水軍が集まる傾向があります。メディアがあるサイバー水軍に取材したところによると、彼は最初はオンラインショッピングの「サクラレビュー」を書いていましたが、その収入が減少したため、自動車業界での「サイバー水軍」として活動するようになりました。現在は自動車関連の様々なミッションに従事しており、競争が激しい自動車市場では多くの投稿ニーズが存在することが明らかになりました。
近年のコンピュータ科学技術の進歩により、人の力に頼らずにコメントを生成し、自動的に関連するキーワードを把握してコメント操作を行う「ロボット水軍」の存在が増えています。一部のメディアが取材した2つの組織によれば、このようなロボット水軍は大量のコメントを安価に提供していますが、品質は低い傾向にあります。例えば、一部の記事の下に、「10ページビュー、30レビュー」といった可笑しい表示を目にすることができます。
サイバー水軍の報酬
報酬については、実写の内容豊かなレビューは高額な報酬を得ることができます。専門的な内容のレビューでは1本10元以上の報酬が支払われる場合もありますが、これらは通常、車に詳しいコンテンツ制作チームを必要とするため、一般的な自動車メーカーは大規模な新車発表や重要な問題に対してのみ採用する傾向があります。一方で、「いいね」、「リツイート」、「お気に入り」といった操作については、自動車メーカーや一般のユーザーからあまり重要視されておらず、コメントビジネスの付随品として位置づけられています。
サイバー水軍の価格は各大手プラットフォームの重要度によって異なります。動画プラットフォームでは「愛奇芸」、「優酷」、「騰訊」のレビュー価格は最低ランクであり、20件単位でコメントが購入できるとされています。一方で、BilibiliとTiktokのコメント価格は通常の動画プラットフォームの10倍に相当する高額な値段設定となっています。
戦場は新エネ車へ
サイバー水軍の活動内容も変化しており、以前はガソリン車に関するミッションが多かったが、現在は新エネ車や新エネ車ブランドと関連したミッションが圧倒的に増えています。
こういう意味では、サイバー水軍業界は自動車産業よりも先に新エネ車への転換を果たしている。
雇い主は誰か
自動車メーカーなどがサイバー水軍を雇っていることが報道されていますが、実際の雇用主は一体誰なのでしょうか?
サイバー水軍は世論操作をしているように見えますが、彼らの背後には謎の雇用主が存在します。これらの雇用主は自動車メーカーのほか、PR会社、セルフメディアブロガー、そして自動車メーカーの株主である可能性もあります。彼らは自社や利益に関係のある競合他社を攻撃し、世論を操作することで自社の利益を追求しているのです。
SNS上の水軍グループでは、ミッションの発表から実行、報酬の支払いまで、充実したプロセスと審査基準が用意されています。それぞれのグループ主催者は、コンテンツの方向性や配信時期、配信数などのニーズを明確に把握しています。
報酬の支払いは、水軍がミッションを完了した後、コメントのスクリーンショットをグループに提出する必要があります。グループ主催者が内容をチェックしてから、現金を受け取ることができます。双方が直接接触することを避けるために、支払いは一般的にAliPayのお年玉やQQのお年玉が主な方法とされており、WeChat経由で送金される場合もあるようです。
サイバー水軍の被害
サイバー水軍は、ネット空間においてさまざまな混乱を引き起こしています。彼らは評判を落としたり、悪い評判を削除したり、アクセスを制限したり、ランキングを操作したりと、清らかな風潮を侵食する手段を駆使しています。特に自動車産業においては、競争すべきは製品や技術であるべきなのに、水軍の口論合戦によって競争生態が乱れています。そのため、一部の自動車メーカーは営業企画活動をする際に、ユーザーに覚えられることよりも、水軍による攻撃を回避することに重点を置くようになっています。
自動車メーカーは、ネット水軍の被害者として苦しんでいる一方で、一部は加害者としても関与しています。水軍による攪乱により、正当な宣伝やマーケティング活動が妨害され、製品やブランドの市場評価が不当に歪められてしまっています。デマや中傷、隠ぺい、歪曲、過大評価、ほら吹きといった不正な手法が横行しているのです。
これらのサイバー水軍の存在により、自動車業界における情報や評判が歪められる可能性が高まっています。消費者は情報を正しく判断する際に十分な注意が必要であり、メディアや企業も公正な情報発信に努める必要があります。ネット水軍の行為には非難の声が上がる一方で、自動車メーカー自身も自律的な行動をとるべきです。
注:中国では、BBSやサイトで「あおりやサクラレビュー」などの書き込みは別名「注水(水増し)」と言われているため、同一人物で複数の登録名を使って「注水」をする人は「サイバー水軍」または「ネット水軍」と称されています。