低迷する自動車市場、「受注成績晒し」ゲーム再流行
自動車情報サイトの「車家号」は、興味深い記事を掲載して、最近国内自動車市場で激しさを増している異質な宣伝方法に警鐘を鳴らした。
その異質な宣伝ゲームとは、新車発表直後に、オンライン受注の成績を発表して自慢することである。受注成績を晒すのは別におかしい行動ではないが、問題は、実際の販売台数とのギャップがあまりにも大きすぎて、発表された受注成績は偽造ではないかと疑われていることである。以下は「車家号」記事の抜粋になる。
「受注成績晒し」を宣伝ツールとして利用しはじめたのは、ファーウェイと提携した東風小康のSERES SF5である。ファーウェイは2021上海モーターショーの期間中、東風小康傘下のブランドのSERESと共同で「ファーウェイスレクトSF5」を発表した。販売価格はそれぞれ21.68万元と24.68万元の2モデルが含まれている。
同モデルは「ファーウェイセレクト」をセールスポイントとしたことに加え、さらに重要なのはその驚くべき受注成績である。SF5は販売開始から2日間で受注が3000台を突破し、1週間で6000台を突破し、その後すぐに1万台に急上昇した。「大量の受注に、小康は生産能力が追いつかない状況に直面するかもしれない」と驚きの声を上げるメディアもあった。
しかし実際にSF5はどれくらい納車されたか。公開データによると、SF5は発売されてから、月1000台弱で推移し、当年10月に2200台がピークでそれ以上台数が増えなかった。「ファーウェイセレクト」に組み込まれた後のSF5の累計販売台数は1万台にも満たず、世間を驚かせた受注正規の真偽については誰も調べていない。
今年1月までにSF5の販売台数は0を示しており、SERESは繰り返し「受注生産」と強調していたが、普通に考えれば、SF5は事実上の生産終了となったことがわかる。ファーウェイとSERESは、その後刷新された新モデルのAITO(問界)M5に力を振り向けている。
コロナ感染拡大とそれに伴う厳しい防疫対策により、消費マインドが下がり、自動車市場は今年に入って一段と低迷しているなかで、「注文晒し」ゲームは再度流行し始めている。
3月31日に上汽VWの新型「Lamando(凌渡)L」が発売され、当日の受注は18117台に達し、わずか2日で30000台を突破したと発表された。しかし、4月の実売台数は1816台にとどまっている。
6月8日にフルモデルチェンジされたプジョー408が発表されたが、驚いたのはその一新されたデザインではなく、「30分で受注1万突破」という発表である。2021年のプジョーの国内販売台数も5万台程度で、外資系合弁乗用車メーカーとしてかなり困った成績である。
地場ブランドも負けてはいない。地場メーカー長城汽車の「タンク500」は昨年の広州モーターショーから予約販売を開始し、同日の注文は2万台に達し、広州モーターショー終了時点で注文はすでに4万台を突破した。これは33.5-39.5万元の中大型SUVである。タンク500の実際の販売台数は今年4月まで1009台程度であった。
BYDは6月9日、「唐DM-p」の予約販売を開始したが、特筆すべきは予約販売開始から3時間でオンラインオーダーが5472台に達したことである。予約販売価格29.28-33.28万元の中国ブランドSUVとしては、この成績はかなり喜ばしい。
新車が売れず、ほぼ死にかけているベンチャー系自動車新勢力のQiantu Motor(前途汽車)までもがK20の「受注データ」で復活した。6月15日夜、Qiantu Motorの公式アカウントは、K20が6月6日に予約販売を開始して以来、受注が15,280個に達したと発表しており、このペースは驚異的である。
自動車メーカーにとって、「受注成績晒し」は「一石二鳥」の役割がある。投資家やパートナーの信頼を高めることができ、群衆心理を利用してより多くの消費者を囲い込むことができ、同時に競争相手を威圧することもできる。
上記の目的を達成するには、あらゆる手段を動員しているメーカーが少なくない。
現在の大多数の注文に必要な予約金はわずかで数千元、数百元、さらには数十元でもいうが、多くは注文を取り消すこともできる。
大手自動車メーカーの従業員が1万人以上おり、それにサプライヤーやディーラーなどの川上・川下のパートナー、関係者が10万人以上いるので、ちょっと動員しただけでもすごい数になる。どうせ予約金は返金できるし、法的責任は何もない。
最近では、恒大汽車傘下の恒馳が5万台の受注を偽装していたことが明らかになったが、何のペナルティもなく、せいぜい量産時期を延期し、従来の6月22日から9月22日に延期しただけで済んだ。
「車家号」は最後に、いくらほらを吹いても、最終的には実際の販売台数で勝負するしかないので、ずる賢いことをしても、いずれバレてしまうと苦言を呈した。