中国の充電網拡大の裏に潜む現実──1,600万基あっても3,700万台の新エネルギー車の航続距離不安は解消せず

最近、中国国家エネルギー局が発表した情報によると、6月末時点で中国の電気自動車用充電設備(充電ガン)の総数は1,610万基に達しました。そのうち、公共充電設備(充電ガン)は409.6万基、民間充電設備(充電ガン)は1,200.4万基に上ります。充電設備の県域カバー率は97.08%、郷鎮カバー率は80.02%に達しました。今年上半期の全国の新エネルギー車の総充電量は549.23億kWhに達しています。

充電ネットワークはますます密に張り巡らされており、現時点でチベット自治区と青海省を除き、その他のすべての省で充電ステーションの「県ごとの全域カバー」が実現しています。また、14の省では充電スタンドの「郷ごとの全域カバー」も達成しました。特に、貴州省、雲南省、陝西省、甘粛省など西部地域では、県域の充電スタンドの増加が際立っています。

一方、ガソリン車の給油所については、6月28日に発表された「中国ガソリン(エネルギー)ステーション発展ブルーブック2024-2025」によれば、2024年末時点で中国本土のガソリンスタンド総数は11.06万カ所で、前年同期比1.92%減少しています。

しかし、これらの情報が一見すると中国の新エネルギー車産業が大きな成果を上げたように見える一方、その裏には厳しい現実が隠れています。

中国の新エネルギー車とガソリン車の保有台数はどの程度でしょうか。公安省交通管理局が公表したデータによると、2025年6月末時点で中国の自動車保有台数は3億5,900万台、そのうち新エネルギー車の保有台数は3,689万台で、自動車全体のわずか10.27%にすぎません。このうち、純電気自動車の保有台数は2,553.9万台で、新エネルギー車全体の69.23%を占めています。

この数字を見れば、多くの人が疑問を抱くでしょう。数億台規模のガソリン車を支えるのはわずか11万カ所のガソリンスタンドで十分なのに、3,700万台程度の電気自動車にはすでに1,610万基以上の充電スタンドが設置されており、それでも「充電が難しい」「航続距離が不安だ」といった不満が出ています。

周知の通り、この最大の原因は充電と給油の効率の違いにあります。ガソリン車は給油所で数分もあれば完了しますが、電気自動車は充電時間が長く、現状の公共充電インフラ(出力90~120kW)では、1台の電気自動車を急速充電するのに平均30分以上かかります。つまり、充電設備は単に「電力と設備があればよい」というものではなく、駐車スペースも必要になります。駐車スペースは限られた土地資源であり、この時間的制約が車両と充電スタンドの比率向上を必須としています。場合によっては「1台に1基」あるいは「1台に複数基」の充電設備が必要になり、これが充電需要の増加に対応する唯一の方法です。しかし、土地資源の制約が充電設備の建設速度を抑えてしまいます。

さらに、維持管理コストの急増という問題もあります。利用頻度が確保できない辺境地域では、多くの充電設備を常に良好な状態で維持することは困難で、利用可能率の低下が航続距離不安をさらに悪化させるという悪循環が生じています。

総じて言えば、中国のように政府主導でコストを度外視して推進してきた新エネルギー車産業でさえ、現状の3,700万台の保有規模に対して1,600万基の充電設備を整備しても、エネルギー補給の問題を完全には解決できていません。今後も充電設備の建設は続く見込みです。したがって、経済原理に基づいて運営される市場経済国が、同水準の充電インフラを整備するのは到底不可能と言えるでしょう。加えて、現在の電気自動車が本当に新エネルギー車と言えるのか、環境に優しいのかについても疑問が残ります。結局のところ、徒労に終わる努力を続けるのか、それとも損失を最小限に食い止めるのかは、各国が真剣に検討すべき課題です。限られた資源を本当に意味のある新エネルギー開発に投じることこそ、賢明な選択でしょう。

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