シャオミSU7で再び死亡事故 車両が炎上、ドア開かず──警察は飲酒運転の可能性を発表も、安全設計に疑問の声

10月13日未明、中国・四川省成都市の天府大道で重大な交通事故が発生しました。高速走行中のシャオミSU7 Ultraとみられる車両が制御を失い、衝突後に炎上しました。運転していた男性はその場で死亡しました。炎は瞬く間に車体全体を包み、多くの通行人が車の窓を割り、ドアを蹴って救助を試みましたが開かず、車は最終的に骨組みだけを残して焼失しました。この事故は中国のSNS上で大きな話題となっています。
ネット上に出回っているドライブレコーダーの映像によると、事故当時の天府大道は車通りが少なく、シャオミSU7 Ultraは前方の車をかなりの速度で追い抜いた直後に衝突し、激しい炎を上げました。映像では、車両が中央分離帯の緑地に衝突した後、対向車線側へと横転し、炎が一気に広がる様子が確認できます。
目撃者の証言によりますと、衝突直後に車両が発火し、彼はほかの数名とともに救助に駆け寄りましたが、ドアは開かなかったといいます。その後、車の底部から爆発音が響き、バッテリーの爆発とみられる音を聞いたため、やむなく後退したとのことです。消防が駆けつけて消火にあたりましたが、火勢が収まった時には車体は完全に焼け落ち、原形をとどめていませんでした。
現場写真などから判断すると、事故車は、 9月末にシャオミが東京秋葉原で披露した高性能モデル「SU7 Ultra」(販売価格52.99万元)である可能性が高いとみられます。
同日午後、成都市公安局交通管理局は事故に関する通報を発表し、検査の結果、運転者には酒気帯び運転の疑いがあると述べました。事故の詳細については現在も調査中としています。
しかし、「飲酒運転」という発表にもかかわらず、世論の焦点は沈静化していません。一部のネットユーザーは、車両がほぼ全焼した状態で「酒気帯び」と断定するのは性急すぎると批判しています。
SNS上では、「シャオミの広報と公安当局が連携して世論の矛先をそらそうとしているのではないか」との疑念も広がっています。複数のコメントでは、「まず調べるべきは車両の技術的な状態だ。自動ブレーキは作動していたのか、ドアロックは故障していなかったのか、運転者は衝突で死亡したのか、それとも炎上で死亡したのか。それにもかかわらず、最初に行われたのが遺体のアルコール検査だというのは理解できない」といった声が上がっています。
また、多くの論評では、「飲酒運転だったかどうかにかかわらず、世間が最も懸念しているのは二つの点だ」と指摘されています。すなわち、「なぜ衝突後に車両が瞬時に炎上したのか」、そして「なぜドアが開かなかったのか」という点です。これら二つの安全問題に対してシャオミが明確な説明を出さなければ、同社の安全性への不信は今後さらに拡大するとみられます。
自動車業界の専門家によりますと、シャオミSU7の「メカニカル風」半埋め込み式ドアハンドルは、見た目こそ機械式に見えるものの、実際には電子制御による構造であり、テスラ車と同様に独立した機械的開錠機構を持たないといいます。そのため、12Vの補助電源が遮断されたり、ドアロックコントローラーが損傷した場合、外部からドアを開けることができなくなるということです。
こうした問題を受け、中国国家市場監督管理総局は今年9月に「自動車ドアハンドル安全技術要求(意見募集稿)」を公表しました。事故時の機能や配置位置、手の操作空間などに関する新たな基準を追加し、救助時の利便性向上と電動車における隠し式ドアハンドルの安全リスク低減を目的としています。
業界アナリストは、「3月末に起きたシャオミSU7の死亡事故から、今回の成都での炎上まで、共通して浮かび上がるのは電気自動車の構造安全性、ドアロック機構、救援時の対応性といった基本設計の脆弱さだ」と指摘しています。
現時点で、シャオミはこの事故についていかなる公式声明も発表していません。
シャオミSU7 Ultra 炎上事故の映像
写真:インターネット