中国自動車業界の人材争奪戦が再び激化
中国の自動車業界の人材争奪戦は数年続いているが、ここ2年ほどはますます激化する傾向にある。
転職・求人サイトの「猟聘」が発表したレポートによると、今年第1四半期の春募集と就業状況では、新エネルギー/電気自動車の新職数は前年同期比120.09%増加し、人気カテゴリーで2位を維持した。コネクテッドカーは同57.40%増で3位、自動運転は前年比41.92%増で6位である。
人材需要が増加する中、自動車メーカーの人事部門にとって、外部から人材を調達すると同時に、自社の人材をいかにスカウトされないようにするかが、重要な仕事の一つになっている。
一部のヘッドハンティング業者は、在職中や退職したエンジニアや技術スタッフの連絡先情報を高値で買い取っている。ある企業の人事関係者によると、10件の連絡先の謝礼として1000元を出してくれる業者もいる。
2015年前後には、第1波のベンチャー系自動車新勢力の台頭が始まり、国内自動車業界では最初の人材争奪戦が始まったが、当時、成長しつづける伝統的な自動車メーカーに比べて、ベンチャー系自動車新勢力の先行きが不透明で、前者から後者への人材流動はそれほど多くなかった。
ここ2年間、一部のベンチャー系自動車新勢力が徐々に定着し、百度やシャオミなどのテクノロジー企業が進出したことで、伝統的な自動車メーカーから人員の流出が明らかに増加している。中には開発チーム全体がスカウトされたケースも少なくない。
そして、最近の人材争奪戦では、これまで一方的に他社から人材を引き抜いてきた自動車新勢力が、今では自社人材が他社に引き抜かれる問題に直面しており、自動車メーカー、部品メーカー、そしてテクノロジー企業の間で人材の流動が加速している。
最近のメディア報道によると、元Xpeng(小鵬)自動運転製品ディレクターの黄鑫氏がNIO(蔚来)に移籍しており、2020年8月には自動運転ベンチャー企業のMomentaの研究開発ディレクターである任少卿氏もNIOに加わった。NIOがスマートシート開発部門を設立した際、その部門の長に務めたのはFAURECIA中国の元副総裁兼CTOの王琼氏である。2021年、同じベンチャー系自動車新勢力の理想汽車の上海研究開発本部は安亭に設立され、安亭周辺の関連自動車産業の関連企業から多くの人を引き抜いたという。
ある自動車メーカーの研究開発の幹部によると、過去1年半の間に、ベンチャー系自動車新勢力は市場で徐々に足場を固め、その人材への需要は、伝統的な自動車メーカーのシャーシや車体などのポストに移り始め、組織的に他社から人材調達を始めている。需要の高い専門分野は、電子・電気アーキテクチャ、スマートコックビット、自動運転などのコア技術に集中している。
前出の「猟聘」の報告書によると、2022年第1四半期の人気分野募集の平均年俸を見ると、自動運転の給料は39.05万元で最も高く、次はコネクテッドカーで37.70万元、新エネルギー車/電気自動車の平均年俸は27.89万元で4位である。