中国政府、自動車業界のネット不正行為に集中対策──3大問題を重点的に是正

9月10日、中国工業情報化部、中央社会工作部、中央インターネット情報弁公室、国家発展改革委員会、公安部、市場監督管理総局の6部門は「自動車業界におけるネット上の不正行為に対する集中対策に関する通知」(以下「通知」)を発表し、全国規模で3か月間にわたる集中的な取り締まりを実施すると明らかにしました。

中国の自動車市場で競争が激しさを増すなか、一部の企業や個人がアクセス数や販売台数を稼ぐために、世論操作や虚偽宣伝、ライバルへの中傷といった手段に走るケースが増えています。これが業界全体の健全な発展を損なっているとして、当局が動いた形です。

重点対象となる3つの不正行為

1.不正利益を狙った「裏稼業」
虚偽の話を作り、ネガティブな話題を意図的に拡散し、根拠のないレビューを仕立てるなどしてアクセス数を稼ぎ、広告収入や「保護料」を得る行為です。最近ではAIを使った水増し投稿も問題になっています。

2.誇大宣伝の「粉飾」
一部の自動車メーカーがレビューアカウントや評価機関を操作し、虚偽データを引用・捏造、売上の一部だけを強調、性能や品質を実際以上に良く見せるなど、消費者を誤導する宣伝活動を行っています。

3.悪意ある「中傷合戦」
競合他社を狙ったネット工作や攻撃的な広報活動、ファングループによる集中攻撃などで企業や製品を貶める行為です。経営幹部が個人の影響力を利用してライバルをこき下ろす例も見られます。

2024年7月には、ある自動車メーカーが財務発表の直前に外部のPR会社を通じてSNSで不正にランキングを操作していたことが摘発されました。
また、Li Autoの新型EV「MEGA」の発売時期には、複数の競合がネガティブキャンペーンを仕掛けた疑いで警察が調査に動いています。
さらに、NIOに関する「破産デマ」や、XPengの自動運転事故を巡る根拠のない噂なども広がり、企業の信用を大きく損なう事例が相次いでいます。

こうした行為の背後には、自動車メーカーだけでなく、個人ブロガーや職業レビュアー、さらにはPR会社や「ネット工作業者」なども関与しているとみられます。

今回の「通知」では、各地の監督当局に対し、企業やプラットフォームの自浄を促し、通報窓口の整備、不正アカウントの閉鎖と公表、背後にいるPR会社や依頼企業の摘発を求めています。

また、ネットプラットフォームにはAIを使った水増し投稿や悪質な「炎上屋」を速やかに見抜き削除する仕組みの整備を指示しました。業界団体には自主規制の強化を、メーカーにはネット上の不正に加担しない姿勢を求めています。

25

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。