中国車のロシア市場シェア、68%から49%へ急落 ─ 新政策と金利上昇が直撃

2025年第1四半期、中国車のロシア市場におけるシェアは大きく低下しました。2024年には約68%に達していた市場シェアが、2025年第1四半期には49%まで下がり、同時に213店舗のディーラーが閉鎖されました。
この変化は単一の要因によるものではなく、複数の政策および市場環境が複合的に作用した結果です。ロシア政府は2024年後半から、輸入車、特に中国ブランドに大きな影響を及ぼす新たな規制を段階的に導入しました。
まず、ロシアは輸入車に対するリサイクル料金を引き上げ、ディーラーにとってのコスト負担が大幅に増加しました。特に2024年10月以前に積み上げられた在庫が新政策下ではコスト要因となり、圧力となりました。同時に、ロシア中央銀行が政策金利を21%に引き上げたことで、ローンによる自動車購入が難しくなり、消費者の購買力も低下しました。
次に、一部の中国ブランド車がロシアでリコール対象となりました。たとえばGAC(広汽)のGS8は「火災リスク」により1万7,000台のリコール命令を受けました。このような技術的なリコールは各国市場でも見られる現象ですが、そのタイミングや集中度が企業の運営に課題をもたらしています。
さらに、比較的高価格帯の中国車が贅沢税の課税対象となり始めました。たとえば、価格が150万ルーブルの紅旗HS5には20%の贅沢税が課され、消費者の購入コストが上昇し、販売にも影響を及ぼしました。
中国ブランドの市場シェアが低下する一方で、ロシアの国産ブランドであるLADAはシェアを30%から39%へと拡大しました。また、韓国の現代・キアも市場に再進出しており、Solarisの2025年第1四半期の販売は前年同期比で約800%の成長を見せました。一部では、ロシア政府が自国および第三国の企業への依存を高める産業政策を取っているとの見方もあります。
最近では、ロシアの一部メディアが中国車の品質テストを実施し、一部の車種で部品の錆や耐久性に問題があると指摘しました。これにより、中国ブランドのイメージにも一定の影響が及んでいます。
ロシアの消費者および販売業者の意識にも変化が見られます。国際ブランドの再参入に期待する声が多く、中国車が「低品質」であるというよりも、ディーラー側が中国ブランドの悪い利益率や厳しい評価基準に適応できないという声が上がっています。一方で、ロシアおよび中央アジア市場に精通した韓国企業の提示する条件のほうが魅力的であり、消費者にとっても選択肢が増えることに対する歓迎の声が聞かれます。
地政学的な状況の変化や、西側自動車メーカーの段階的な復帰の可能性とともに、韓国ブランドはすでに攻勢を強めており、日本や欧米ブランドの再参入があるかどうかが今後の注目点となります。
「西側の一員でありたい」という志向はロシア国民の間に深く根付いており、根強い先入観の中で、中国自動車メーカーが長年かけて築いてきたロシア市場が、再び日本・韓国や欧米メーカーへと回帰する可能性も否定できません。