中国商務省:中国とEU、電気自動車補助金問題に関する価格承諾交渉の再開で合意

4月3日午後、中国商務省の定例記者会見が開催され、報道官の何亜東氏が「中国とEUの双方が、電気自動車の反補助金案件に関する価格承諾交渉を早期に再開することで合意した」と発表しました。この発表は、米国が中国への関税引き上げを発表した翌日に行われたことから、中国がEUを引き込み、米国の関税政策に対抗する姿勢を示すものと見られています。
2024年10月、EUは中国産電気自動車に対し、最高35.3%の追加関税を課すことを決定し、SAICやGeelyなどの中国大手自動車メーカーを標的としました。これにより、中国とEUの貿易関係は膠着状態に陥りました。その後、中国は対抗措置として、EU産ブランデーに対する反ダンピング調査を開始し、「電気自動車 vs ブランデー」という貿易対立の構図が形成されました。
しかし、双方とも関税戦が根本的な解決策にはならないことを認識し、2025年3月28日に開催された中国とEUの経済貿易ハイレベル会談では、「対立ではなく対話を通じて問題を解決する」という重要な合意が示されました。
膠着状態を打開する手段として、中国とEUは価格承諾交渉を進めました。WTOのルールに基づき、輸出側が補助金の影響を相殺するために価格を引き上げることを受け入れれば、輸入側は関税を一時的に停止できます。この仕組みにより、EUの「低価格ダンピング」への懸念を和らげると同時に、中国メーカーの市場アクセスを維持する道が開かれます。
しかし、双方の主張の隔たりは予想以上に大きいことが明らかになりました。EUは中国メーカーに「公正な価格設定」を求める一方で、中国は市場の自律性を強調。さらに、欧州の電気自動車産業が中国製バッテリーをはじめとするサプライチェーンに深く依存していることが、中国側の譲歩を一層難しくしているのです。
今回の交渉再開にあたり、中国はEU産ブランデー調査の期限を延長することで対話の余地を作り、EUは追加関税の発動を見送り、技術協議を推進する姿勢を示しました。
中国とEUの電気自動車関税交渉再開の合意は、米国の保護主義的な関税政策に対する牽制と解釈できます。両者の利益対立は依然として大きく、短期的な妥協は難しいものの、米国主導の「反グローバル化」圧力に対抗するため、協調の姿勢を示す必要に迫られています。