EU、中国EVに対する反補助金関税を可決!ドイツ反対、フランスとイタリアは支持
10月4日、EU加盟国は欧州委員会が提案した中国製電気自動車に対する5年間の反補助金の追加関税を導入するかどうかの投票を行いました。欧州委員会が発表した声明によると、この提案は加盟国の必要な支持を得て、2024年11月から5年間実施される見込みです。
今回の正式投票は、7月に行われた非公式投票とは異なり、加盟国の本音が反映された結果となりました。投票結果は、EU加盟国間で意見が大きく分かれていることを浮き彫りにしました。
追加関税を支持した国は、フランス、イタリア、デンマーク、オランダ、ポーランド、アイルランド、エストニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニアの計10か国です。一方、この提案に明確に反対した国は、ドイツ、ハンガリー、マルタ、スロベニア、スロバキアの計5か国です。
また、ベルギー、チェコ、ギリシャ、スペイン、クロアチア、キプロス、ルクセンブルク、オーストリア、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、フィンランドなど12か国は棄権を選択しました。棄権票の増加は、多くの国が追加関税の実施に対して慎重な姿勢を持っていることを示しています。
今回の投票が可決されたことで、EUは現行の10%の関税に加えて、中国製電気自動車に対して最大35%の追加関税を課し、総関税は最大45%に達することになります。
同日、中国商務省の報道官はこの動きについてコメントし、中国側はEUのこの措置に強く反対していると述べました。報道官は、これは不公平で不合理な保護主義であり、世界貿易機関(WTO)のルールに重大に違反していると指摘し、正常な国際貿易秩序を損なうものであると強調しました。
今回のEUの関税政策は広く議論されており、米国やカナダの関税政策との違いが注目されています。米国やカナダは中国製電気自動車に対して100%に達する強硬な関税を課しており、中国製車両の市場参入をほぼ禁止しています。一方、EUは補助金の程度に応じて異なる税率を課す差別関税を採用しており、最高税率は35.3%にとどまります。
今回の投票は、EU内での対中政策における意見の対立を浮き彫りにしました。ドイツなどの主要工業国は、自国の自動車産業への影響を懸念し、関税の引き上げに反対していますが、フランスやイタリアは国内市場を守るために関税を支持しています。
EUの措置は、中国製電気自動車の完全な排除ではなく、中国メーカーに市場での利益分担を促す意図があるとの見方もあります。今後、中国の自動車メーカーが欧州で合弁企業を設立し、貿易摩擦を緩和する可能性も指摘されています。
中国商務省によると、双方は10月7日に引き続き技術的な協議を行い、貿易摩擦の拡大を回避するための解決策を模索する予定です。EUは11月に追加関税を実施する予定ですが、引き続き対話を通じてWTOのルールに従った解決策を見つける意向を示しています。EUは中国との全面的な貿易対立を避けるとともに、欧州の電気自動車市場での公平な競争環境を維持することを目指しています。