EU、相殺関税の調査結果を公開:中国電気自動車の「ファーウェイタイム」が始まる
EUは金曜日から中国製の電気自動車に最大37.6%の関税を課していますが、これは今年11月の最終決定までは一時的な措置です。最終決定で現在の関税措置が支持されれば、この一時的な関税は恒久的なものとなります。
7月6日の「Carscoops」の報道によると、EUが中国の電気自動車に対する相殺関税調査報告書を公開しました。報告書には、中国の主要自動車メーカーが政府から受けている補助金の具体的な状況や、EUが状況に応じて各メーカーに異なる税率を適用していることが詳しく記載されています。
EUの調査の詳細は予想外でした。EUの調査結果は非常に詳細で、中国の電気自動車産業の内部関係者の協力がなければ、EUはこれらの情報を入手できなかったと見られます。
この記事は、EUが中国の電気自動車に関税を課す理由を説明しています。また、これはEU指導者が中国に繰り返し説明してきた点を支持するものです。今回の中国への追加関税は罰則ではなく、中国の自動車メーカーが中国政府の補助金を受け、欧州の自動車メーカーに不公平な価格優位性をもたらした事実に基づいています。
EUの報告書は、国有銀行の融資、交付金、販売奨励金、工場建設の安価な土地、バッテリーの研究開発と販売の高額補助金など、中国政府が中国自動車メーカーに補助する具体的な方法を列挙しています。
EUは、各自動車メーカーが受ける補助金の程度を細分化し、各企業に異なる関税を課すことを決定しました。報告書によると、地方国有自動車メーカーのSAIC(上海汽車)が受けた補助金は34.4%に達し、中国の自動車メーカーの中で最も多くの補助金を受けています。
SAICが受けた政府補助金の内訳は、1.38%が国有銀行からの融資、8.27%がその他の融資、8.56%が交付金、2.28%が電気自動車販売奨励金、0.67%が不動産ディスカウント、13.24%がバッテリー調達優遇措置によるものです。
また、中国の自動車の労働コストは欧州の同業者より明らかに低く、これも重要な要因となっています。SAICが生産する電気自動車MG(名爵)4の価格は、合弁メーカーの上汽VWが生産するID.3の価格と比較して13000ドル以上の差があり、SAICがなぜVWに対して巨大な価格優位性を享受しているのかを示しています。
BYDとGeely(吉利)は政府からの補助金が比較的少なく、EUの調査に対して透明性を維持しているため、これらの自動車メーカーの相殺関税はそれぞれ17.4%と19.9%と相対的に低いです。この結果は、これらの企業が民間企業であることと関係があるかもしれません。中国では、国有企業は貸付申請、プロジェクト審査認可、補助金の支給などで民間企業よりも優位性を持っています。
しかし、報告書によれば、BYDは独自の電池工場を持っている点でSAICとは異なりますが、BYDが電池を生産するために使うリチウムも政府から補助金を受けていると指摘されています。
SAICはまた、調査に協力していない企業とされており、これもSAICが10%の関税に加えて最大37.6%の相殺関税を課された理由の一つです。
この件は、2018年以降の米国によるファーウェイの全面的な封じ込めを思い起こさせます。現在の欧米の中国電気自動車に対する姿勢を見ると、中国の電気自動車はいわゆる「ファーウェイタイム」に入りつつあると言えます。ファーウェイが全世界で急速に台頭していた時期に、米国がファーウェイの法律違反行為を追及して、ファーウェイ包囲網を構築しました。最初はEUも少しぎこちなく、嫌がっていましたが、現在では西側全体が自発的にファーウェイを排除し始めました。中国の電気自動車も同じシナリオになる可能性があるため、今後の動向を注意深く見守る必要があります。